陣内智則(43)とフジテレビ松村未央アナウンサー(30)が、4年の交際をへて結婚することになった。その一報が届いた時、冬のある日を思い出した。

 2人の交際が判明したのは、3年前の14年1月だった。写真週刊誌で報じられたことがきっかけだったが、陣内はモデルとの二股交際疑惑も同時に報じられた。

 駆け出し芸能記者だった私はデスクの指示を受け、真相を確かめるため、陣内の自宅に向かった。

 外は、いてつくような寒さだった。ひたすら陣内を待った。なかなか現れなかったが、その後、先輩記者も合流して待っていると、本人が現れた。夕方から5時間は待っただろうか。寒さをしのぐためにはめていた手袋を慌てて外し、カメラとペンを持って直撃した。

 陣内にあわてる様子はなかった。表情を変えることなく「きちんと説明したいと思っていました」と言った。二股が報じられたモデルは、確かに友人関係があり、実際には心がひかれた時期もあったという。正直な人だと思った。さらに、そのことを交際している松村アナにもしっかりと伝えていたこと、二股疑惑が伝えられたことについても話し合ったことなどを、丁寧に説明した。

 実際に疑わしい行動をとったことも報道されていたが、「そこは、本当にちゃんとしないと…」と落ち込むようにうなだれた。感情を、素直に出す人だと思った。陣内はさらに「彼女(松村アナ)にはつらい思いをさせてしまった分、僕の中ではちゃんとしないといけないと思っています」といい、男としてけじめをつけなければいけないと考えていることも明かした。

 それから3年の月日が流れた。無事にゴールインすると知り、あの時の言葉通り、松村アナに対して、誠意ある行動をとったことが想像できた。話をじっくり聞いた身としても、何だか安心した。

 ここからは個人的なことになる。実は、ゴールインと聞いて安心したのは、ある理由がある。直撃取材の際に、とんでもない“悲劇”が起きたからだ。

 当時はまだ、長い間、取材対象を待ち続ける張り込み取材は不慣れだった。陣内が、ある意味で無防備な様子で突然現れたこともあって、恥ずかしいのだが、少し動揺した。それでも取材はしっかりできたが、陣内を見送った後、もっと動揺することが起きていた。自分の左手薬指から、結婚指輪がなくなっていたのだ。そうだ、あの時だ。メモをとり、写真を撮るため、あわてて手袋を外した時、指輪も一緒に抜けてしまったのだ。

 辺りは既に真っ暗で、落ちたと思われる場所を、懸命に探した。心配してくれた先輩記者も一緒に探してくれたが、結局、見つからなかった。

 渦中のタレントを単独で直撃取材できたことで喜んでいたのもつかの間、何より大切なものを、なくしてしまった。結婚指輪を、よりによって二股交際疑惑によって結婚に黄色信号がともった男性の取材で失うなんて…。取材の成果は何よりうれしかったが、内心は複雑だった。妻には、こと細かに説明した。取材現場の苦労は理解してくれたが、指輪をなくしてしまったことは、とても残念がっていた。

 そんなこともあって、陣内のその後の動向は、個人的にも気になっていた。指輪をなくしてまで取材したタレントだ。できれば、あの時の反省の言葉を生かしてゴールインしてほしい。そんなふうに思っていた。だから今回、結婚すると知り、私の結婚指輪も、少しは、むくわれるだろうと思った。(本当は手もとに帰ってきてほしいのですが…)。