上海国際映画祭へ行った。日本映画の人気と、日中の映画文化の違いに驚いた。

 映画祭では、村上虹郎(20)が主演する映画「二度めの夏、二度と会えない君」(9月1日公開)のガラ上映&舞台あいさつを取材した。約600人の劇場は満員。人気の高さを感じた。舞台あいさつをより近くで見られる前列は、若い女性ばかりだった。

 これまでに、村上が出演した作品が中国で上映されたことはないという。ではなぜ、彼女たちは村上を知っているのか。事務所関係者は「ネットで配信されているドラマを見たのでしょう」と推測する。

 中国では、海外映画の上映を政府が制限している。その反動か、中国の若者は、インターネットなどを通して、海外の映画やドラマを楽しんでいるという。

 中でも、ジャンルの豊富な日本の作品は人気があるそうで、事実、上海国際映画祭では57本もの日本映画が上映された。映画祭とは別に「日本映画週間」も設けられたほどだ。そういえば、4月に行われた北京国際映画祭でも、「日本映画週間」が設置されていた。

 そんな理由で村上を知りファンになった女性たちが詰めかけたのだ。舞台あいさつ前には、楽屋を探し当てて「写真を撮ってください」と言いにくるファンもいた。(村上は驚きながらも応じていた)舞台あいさつを終えて迎えのバスに乗り込むと、会場から出てきた女性たちがバスを囲み、手を振っていた。中国でここまで人気があるとは、知らなかった。

 取材を通して、違和感を覚えたこともある。日本での舞台あいさつでは、観客による写真撮影は原則禁止だ。しかし中国はなんでもありだった! ファンの女性たちは、携帯電話や自前のカメラなどで、撮影しまくっていた。事実、ツイッターで村上の名前を検索すると、中国人ファンとみられる方がたくさん写真を掲載していた。

 映画観賞中の観客の反応も違った。日本の映画館で鑑賞するときは、静かにするのがマナーだという印象がある。くすっと笑えるシーンでも、大声で笑う人はあまりいない。しかし中国は違った。笑うところはとことん笑っていた。表情豊かに映画を見る姿が印象的だった。

 同じアジアの国といえど、映画という文化一つでこんなにも違いがあるのかと驚いた。