「ジャパメタ」という言葉をご存じだろうか。「ジャパニーズ ヘビーメタル」の略だが、私が高校生だった80年代、今では信じられないほどの「ジャパメタ」がブームになっていた。

 当時大阪発のバンドがシーンを引っ張っていたが、その先陣を切ったのはラウドネスだろう。ラウドネスの躍進でBOW WOWがVOW WOWとなり、続くようにアースシェイカー、44マグナム、マリノ、X-RAY、MAKE UPらがシーンを演出した。

 83年3月、アースシェイカー、44マグナムが「東京殴り込みギグ」と称したライブを歌舞伎町のライブハウス「新宿ロフト」で開催。あれから34年。両バンドが「殴り込みギグREBORN2017」を19、20日、同じ歌舞伎町の「新宿MARZ」で行った。83年のライブ当時、私は北関東の高校生だったので見ることができなかった。34年の時を経て、夢がかなった。

 44マグナムはビジュアル系バンドの先駆けで、X JAPANら影響を受けたバンドは数多い。そんな44マグナムのボーカル、ポールこと梅原達也(56)は05年、若年性パーキンソン病を告げられる。闘病しながらも歌い続ける姿はNHKドキュメンタリー「もっともっと歌いたいぜ-パーキンソン病と闘うロック歌手の日々-」でも取り上げられた。昨年、頭に電極を埋め込む手術をした。今回のステージでは「手術は成功した」とファンに報告。「こうしてヘッタクソな歌をみんなに聞いてもらえるようになれた」と話すと、会場からは大きな拍手が起こった。

 病気を患い、手が震え、大量の薬を飲みながら歌うポールをサポートしたのは、息子のスティービーだった。ポール不在時の44マグナムでフロントに立ち歌うことで、父親が作った「44マグナム」の火を燃やし続けた。

 ポールは「当時ジャパメタと呼ばれるのが嫌だった」と振り返った。「こんなにヘビーメタルなのになんで嫌だったんだろう。今は誇りに思える」と胸を張った。

 44マグナム、アースシェイカーはともに来年デビュー35周年を迎える。ポールは「ラウドネスにも話して3バンドで何かできたら面白いよね」と話したが、「いないバンドのことを話すと良くないので、これでやめておこう」と胸中にある構想を口にした。

 今なお走り続けるジャパメタバンドの今後に注目していきたい。