芸能記者になってから約1年半が経過します。意識的に話題の映画は見るように心がけていますが、最近みた作品で「家族」「人生」について考えさせられた作品があります。それは、現在公開中の作品「幼な子われらに生まれ」です。

 同作は重松清氏の同名小説を原作にした作品で、つい先日カナダで開催されたモントリオール世界映画祭コンペティション部門でグランプリに次ぐ審査員特別賞を受賞しました。

 受賞後初となる三島有紀子監督(48)の舞台あいさつが都内で開催されました。三島監督は「人間は生まれていろんな異質な人と出会って、いろんな化学反応が生まれて死んでいくのが人生だと思う」と話していました。まさにその言葉通りの作品だと思います。

 前半は伏線を張り続け、後半その伏線が一気に絡み合う展開はスリリングさえ感じました。まだ公開中なのでネタバレはしないようにしますが、あの終わり方も印象的です。あの家庭はいったいどうなるのでしょうか。ハッピーエンドなのか、それともアンハッピーエンドなのか。それは描かれていないので、想像するしかありません。そういう意味では、もやもや感も残ります。しかし、そんなもやもや感以上に強く感じたのは、もし自分が浅野忠信演じる田中信の立場だったら「どんな風に行動するだろう」でした。

 個人的にはテーマが重すぎるし、もやもや感も残ります。しかし、「人間」が見事に描かれてた作品だと思います。恥ずかしながら原作を読んでいないので、原作も読んでみようと思います。