山田洋次監督(86)の新作「妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3」が製作され、18年5月の公開が決まった。8日、製作・配給の松竹が発表した。

 「妻よ薔薇のように-」は、山田監督にとって大ヒットシリーズ「男はつらいよ」以来20年ぶりの喜劇映画として製作され、16年3月に公開された「家族はつらいよ」のシリーズ第3弾。山田監督は、テーマについて「今回は妻への賛歌です。専業主婦の家事という仕事がどれだけ大変か、家族にとって主婦の存在がどれだけ重要な意味を持っているか」と語った。

 「家族はつらいよ」は、山田監督の12年「東京家族」で一家を演じた俳優8人が再集結し、橋爪功演じる平田家の父周造と吉行和子演じる母富子の、熟年離婚騒動に揺れる一家の喜怒哀楽を人情たっぷりに描いた。5月公開の「家族はつらいよ2」では、熟年離婚を乗り越えた周造が、運転免許を返上させようとする子どもたちとせめぎ合う姿を描く中で、現代社会で深刻な問題となっている無縁社会とも向き合った。

 「妻よ薔薇のように-」では、西村まさ彦演じる周造の長男幸之助一家と両親が同居する家に泥棒が入り、夏川結衣演じる幸之助の妻史枝のへそくりが盗まれる事件が発生。幸之助から「俺の稼いだ金でへそくりをしていたのか!」と嫌みを言われた史枝は、たまっていた不満が爆発して家を飛び出す騒動に発展する。

 一家の主婦が不在となった平田家は、具合の悪い富子に代わり周造が掃除、洗濯、食事の準備と、慣れない家事に挑戦するが、うまくいかずに大混乱。家族そろって史枝の存在のありがたみを実感する一方、戻る気配は一向になく、平田家崩壊の危機に家族会議が緊急召集される物語だ。

 両親、長男夫婦を演じる4人のほかに、周造の長女成子を中嶋朋子、夫の泰蔵を林家正蔵、次男の庄太を妻夫木聡、妻の憲子を蒼井優と平田家のメンバーに加えて、平田家を取り巻く面々を演じる小林稔侍、風吹ジュン、笹野高史、木場勝己、藤山扇治郎、徳永ゆうき、笑福亭鶴瓶も出演。さらに映画ファンで知られる立川志らくが、山田組に初参加。鶴瓶との落語家共演に期待が高まる。

 撮影は10月3日にクランクインし、11月下旬にクランクアップ予定。山田監督はクランクインにあたり、次のように語った。

 山田監督 前回の作品(家族はつらいよ2)は、周造の友人が巻き起こす騒動で老人の貧困がテーマだったけれども今回は(家族の)内側に内在していた夫婦の問題が噴出し、それに対して家族たちがどう対応し、オロオロしながらどう乗り越えていくか、そこが前とは大きな違いです。このテーマはある種の重みを持っているので、そこをきちんと押さえて、楽しくも味わい深いどっしりとした喜劇を作りたいと思います。

 また「家族はつらいよ2」ブルーレイ&DVDが11月3日から発売される。