結成15年以内のコンビで争われる漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2017」の決勝が3日、東京・六本木のテレビ朝日で行われた。02年結成で今回がラストチャンスだった、とろサーモンが優勝した。03年から連続出場を続け、9回の準決勝敗退、1回は準々決勝敗退を食らった“負け犬”たちが、初の決勝進出で13代目王者の座をつかんだ。賞金は1000万円。

 過去9回も敗者復活戦の壁に泣いた、とろサーモンが最後の大会で栄光の座をつかんだ。決勝の票数は4対3。2年連続準優勝となった和牛に僅差の勝利だった。

 決勝1回戦は、まだ会場の観客が温まっていない3番手で登場。初めて突破した準決勝と同じ旅館ネタでギリギリの3位通過。上位3組で争われた最終決戦では、不条理なイモ神様ネタをやりきった。1回戦ではボケの久保田和靖(38)がド突かれて「なんですか、日馬富士ですか」と相撲界ネタを披露。最終決戦ではツッコミの村田秀亮(38)が焼きイモの車にぶつけられて「うちは車の事故が多いから」と所属の吉本興業ネタも入れた。大舞台で危険なネタをぶち込む大胆さで勝利をつかんだ。

 10年に大阪から東京に進出したが、ブレークすることはなく、後輩がスターダムにのしあがるのを眺めてきた。この日が38歳の誕生日の村田は、ピース又吉直樹が芥川賞を受賞した「火花」のドラマ版では、売れない先輩芸人の役を演じた。「ドラマの中の『売れたいな』というのは本気のセリフでした。上京した頃は仕事がなくて、家のフローリングに四つんばいになって、長渕剛の『上京』を聞きながら4時間も泣いていた。決勝が12月3日になった時、縁があるんじゃないか思った」と目を潤ませた。

 久保田はきもキャラが人気となりピンではバラエティー番組で活躍も、コンビでは不発。「ずっと敗者復活戦で負け続けて、M-1を憎みながら生きてきた。負け続けてきたけど、今日の優勝で回収できた。ジーザス、ありがとう!」とイモ神様に感謝の言葉を送った。

 優勝賞金の1000万円の使い道を聞かれると、2人の故郷の宮崎空港に銅像を建てたいという。「空港にベンチに座った(俳優の)温水洋一さんの銅像があるんですけど、僕ら2人で挟んだ銅像にしたい」と笑った。

 大会は5年の中断をはさみ、一昨年から復活して、今年で通算13回目。4094組がエントリーした。【小谷野俊哉】

 ◆とろサーモン ボケ担当の久保田和靖(くぼた・かずのぶ)は、1979年(昭54)9月29日生まれ、宮崎県出身。175センチ、94キロ。特技はテニス。血液型O。ツッコミ担当の村田秀亮(むらた・ひであき)は1979年12月3日生まれ、宮崎県出身。178センチ、65キロ。特技はコサックダンス、野球。血液型AB。02年7月にコンビを結成。主な受賞歴は05年にオールザッツ漫才で準優勝、06年にABCお笑い新人グランプリで最優秀新人賞、08年にNHK上方漫才コンテストの最優秀賞。