6日に亡くなった伝統芸能「太神楽(だいかぐら)」の曲芸師、海老一染之助さん(享年83)の通夜が10日、東京・中野区の東光寺で営まれ、爆笑問題の太田光(52)田中裕二(52)ら約250人が参列した。

 2人が司会を務めていたフジテレビ系元日恒例の「初詣! 爆笑ヒットパレード」で、ゲスト出演した染之助さん・染太郎さん兄弟によく声を掛けてもらっていたという。太田は「優しかった。いつも『体だけは気を付けろよ』と言ってくれた」。田中は「僕らが子どものころから見ていた大先輩なのに、こんなに腰が低いのか、という方でした」と振り返った。

 最後に会ったのは3年ほど前。爆笑問題のラジオ番組にゲストで来てくれたという。田中は「ラジオで(映像が)見えないんですけど、サービス精神で(芸を)やってくれたんです」と明かした。

 報道陣から、誰が染之助さんの芸を引き継ぐのか聞かれると、太田は「僕がやりますか。いや、田中にやらせて、ギャラは同じ。僕は頭脳労働で」などと、生前の染之助さん・染太郎さん恒例のやりとりにちなんで、ジョークを飛ばした。その上で「あの芸能は引き継げないですよ。本当に惜しいです」と悼んだ。

 あと1カ月足らずで新年がやってくる。太田は「お正月がさみしくなっちゃう。登場するだけで画面全部が明るくなる方がいなくなると、沈みますよね。底抜けに明るくて、芸人のかがみ」と惜しんだ。田中も「寂しいです」と話した。ほかに落語家桂文楽、古今亭志ん橋らが参列した。

 喪主は妻村井秀子(むらい・ひでこ)さん。祭壇には、海老一染之助・染太郎時代の写真、舞台で使っていた傘、まり、どびん、口にくわえて使うばちが飾られた。棺(ひつぎ)には、傘とまりを納めるという。秀子さんは「天国に行って、染太郎さんとコンビでやってくれるんじゃないかと思っています」と話した。戒名は至藝染朗信士(しげいせんろうしんじ)。