映画「マルサの女」やNHK大河ドラマ「葵(あおい) 徳川三代」、マキノ雅彦名義で映画監督も務めた俳優津川雅彦(つがわ・まさひこ)さん(本名・加藤雅彦=かとう・まさひこ)が4日に心不全で亡くなっていたことが7日、分かった。78歳。

 津川さんは、安倍晋三首相との深い交友でも知られた。第1次政権で首相が退陣した後、12年の自民党総裁選出馬を前に、安倍氏を再び総理の座に押し上げようと結成された民間人の有志による支援グループのメンバーにも名を連ねていた。

 第2次安倍政権では、日本の文化芸術の振興や海外への発信などを目指し、政府が設置した有識者会議「『日本の美』総合プロジェクト懇談会」で、座長に就任。15年10月に開かれた初会合後の取材には、「今までは経済と安全保障だったが、(首相には)価値の体系である美に力を入れてほしい」と要望していた。首相動静によると、津川さんは今年6月22日に官邸で開かれた懇談会にも出席し、首相とも面会した。

 首相が解決を目指す北朝鮮による日本人拉致問題では、早期解決を訴えるための啓発ポスターのモデルに起用され、厳しい表情で前を見据える写真が、採用された。津川さんはこの時の発表会見で、自身も74年に生後5カ月だった長女を誘拐された経験に触れ、「わがことのように思える人間として参加させてもらった」と、拉致問題解決への思いを述べていた。