歌舞伎俳優市川海老蔵(41)が来年5月に、13代目市川団十郎白猿を、長男堀越勸玄君(5)が8代目市川新之助を襲名することを14日、松竹が発表した。この日、海老蔵、勸玄君が東京・歌舞伎座で会見を行った。

会見の一問一答は以下の通り。

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-団十郎に「白猿」と付けた理由は

海老蔵 5代目団十郎が「白猿」という俳名だった。私も団十郎を襲名しますが、やはり父(12代目)や祖父(11代目)の足元にも及ばないという思い。これから精進していこうという気持ちも含めまして会社の方々とお話をして、「白い猿という方向性でお願いします」と。

-ゆくゆくは「白猿」がとれることもあるのか

海老蔵 それはどうでしょう。分かりません。

-勸玄君は新之助襲名をどう思っていますか

海老蔵 襲名が決まる以前から彼(勸玄くん)は新之助だと思っているところが多少ありまして。本当は新之助よりか、海老蔵を継ぎたかったみたい。「新之助という名前もあるから、新之助になったらどうだろうか」と言ったら、「分かりました」と言ってくれました。

-どのような新之助になってほしいか

海老蔵 海のものとも山のものとも分からないけれど、どのような気持ちで向き合っていくのか、逃げずに受け止めていくのを見守っていきたい。

-団十郎という名跡への思いは

海老蔵 歌舞伎界にとって大変重い名跡で、日本の伝統文化に携わる方や、日本人としても団十郎イメージが多くあるので、そのイメージも大事だと思いますが、初代や7代目のように、その時代に大きな影響を与えた人物も出ている。その部分を意識して、古典に向き合って、新元号になるときに襲名させていただくわけですので、時代に生きていることを多くの方に感じていただけるような団十郎を描いていきたい。

-勸玄君の今日のあいさつはどうでしたか

海老蔵 ごあいさつもさせていただきましたけど、さっきまで「え~、できな~い」みたいなことを言っていた。いざ、緞帳が上がりますと、堂々とやっている姿を見て、ほうっておいてもいいのかなと思った。

-勸玄君は遊びと稽古のどちらが好きですか。

勸玄君 お稽古です。好きな遊びは鬼ごっこです。

-36年前の新之助襲名の会見で、海老蔵さんは同じ質問で「遊び」、そして好きな遊びは「サッカー」と答えていました。

海老蔵 それは覚えていないけれど、(勸玄君が)舞台が好きというのは、歌舞伎の家に生まれて良かったなと思います。

-勸玄君がやりたい役は

勸玄君 (舞踊の)玉兔と、幡随長兵衛です。

海老蔵 今、一緒に出ているのですが、どうしてもやりたいようです。

-平成の海老蔵を振り返って、どうですか

海老蔵 いろいろなことがあって大変でした。海老蔵であったことが影響を及ぼす、新元号の団十郎になれればいいと思います。

-襲名までの1年でやってみたいことは

海老蔵 父は団十郎を襲名するまで、成田山新勝寺などで修行をよくやっていた。私も以前に修行したこともあり、修行に行けたらと思っています。

-襲名を伝えたい人は

海老蔵 1番伝えたいのは2人です。父と(小林)麻央です。じかに伝えられないのは大きなこと。今日も出掛ける前に、妻に手を合わせて『そういう日が来たよ』と伝えました。

-襲名興行で、古典以外の演目をやるのか

海老蔵 それはありません。ただ。襲名して後、新しいことへの挑戦を忘れてはいけないと思っていますが、(襲名興行は)古典を中心にしてまいります。父、祖父が得意としていたものを継承していくご披露の場になります。