週刊文春に、当時所属していた女優のん(25=能年玲奈から改名)にパワハラしたなどとする記事を掲載され、名誉を傷つけられたとして、芸能事務所レプロエンタテインメントと本間憲社長が、発行元文芸春秋と当時の編集長に対し、それぞれ損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(中園浩一郎裁判長)は19日、事務所に計550万円、社長に計110万円を支払うよう命じた。

中園裁判長は、記事は事務所と対立するのん側の主張に基づくだけで、内容が真実であるかを検証していないなどと指摘した。

レプロ社はこの日夜、判決についてコメントを発表。「本件において、被告の事実と異なる記事が、当社の社会的評価および営業上の信頼を著しく低下させ、多大な損害を与えたという当社および本間の主張の正当性が証明されました。また今回の勝訴判決は、長い時間と膨大な労力をかけた精緻な審理を経て判断された結果であり、昨今における芸能事務所への偏見に左右されていない極めて公平性の高いものであると考えます」などとした。

一方、週刊文春編集部は「文春オンライン」で、「本件記事は、能年玲奈さんご自身の告発に基づき、掲載されたものであることを、裁判の場で明らかにしています」などとした上で、「判決は、芸能界の健全化の流れに逆行するものであり、今後の勇気ある告発をためらわせる契機になりかねません。到底承服できるものではなく、即日控訴しました」とコメントした。

週刊文春は2015年4月、ゴールデンウイーク特大号で、事務所がのんに合理的な理由なく仕事を与えなかったり、「負け犬」と暴言を吐くなどしてパワハラしたりしたなどとする内容の記事を掲載。レプロ社はその後「事実無根」などとして、訴訟を提起していた。