スポーツ新聞の芸能記者は各社ともに「担当制度」がある。記者ごとに芸能事務所やテレビ局、レコード会社などを数社ずつ「担当」し、イベントに行ったりインタビューしたり、いわゆるニュースを抜いた抜かれた、という時の責任を一定程度、背負ったりする。

「担当」の社とはお付き合いが深まるので、所属芸能人と接触の頻度も多い。記者も人間なので、その芸能人に思い入れが強くなるケースもある。愛のある「思い入れ」は良いが、ただの「肩入れ」にはならないよう、冷静になることも必要だ。

複数の芸能人が出るイベントや、担当記者が休日の際などは「担当外」の取材もある。そこでは「思い入れ」が取り払われ、芸能人をフラットに見る好機でもある。

そんな「担当外」取材でキラリと光った女優がいた。木下晴香(20)だ。

声優を務めるディズニーの実写版映画「アラジン」プレミアム吹替版で4月に2度、取材機会があった。この木下、ルックスは透明感のある美女。さらに初々しさと、落ち着きと、機転の早さを併せ持ち、20歳とは思えない、バランスの取れた雰囲気なのだ。

アフレコの取材では、共演の中村倫也(32)が「僕もダイヤモンドの原石なのかも」と映画に絡めて冗談を言うと「その点で言ったら(私は)願いがかなう」と、映画のストーリーに絡めて自分の心情を表現した。中村への気遣いもしっかり。「チャーミングな方で、いたずらっぽく声をかけてくださるから、すごく心がほぐれました」と、ちゃめっ気たっぷりに笑った。

そんな機転の早さはもちつつも「ディズニーの代表作の1つ、アラジンの王女役の声を担当する意気込み」を聞かれると、ディズニー大ファンという木下は、感情がこみ上げた様子で「う~ん、どうしよう」と顔を少し赤らめ、中村に「先に(返答)お願いします。考えます」と初々しく、助けを求めた。

そんな姿を見た中村も「セリフの声を聞いて、高貴で芯がしっかりある声で、ジャスミンという女王にピッタリだと思っていました。初めてお会いしたら、照れ屋で、悩みながら受け答えしている姿を見て、20歳の女の子なんだな、と安心しました」と絶賛していた。

ミュージカルで培った歌唱力は本物。お披露目イベントでは、堂々の歌声を披露。中村にエスコートされ魔法のじゅうたんに乗る際も、王女のイメージが実にサマになっていた。

かなえたい夢を聞かれた木下は、「広い世界を見てみたいという思いがある。国外に行ったことがほとんどないので、海外に行ってみたい」と答えた。女優として海外で活躍、遠くない未来にその日が来るかも、と思わせられた。

後日。木下の所属事務所「担当」記者と話すと、日刊スポーツが5月1日付で掲載した「令和のスター候補一覧」に木下を推していた。「担当」も「担当外」もイチ推し。新時代の木下にぜひ、注目して欲しい。【大井義明】