宝塚歌劇団の元星組トップスターで女優の北翔海莉(ほくしょう・かいり、38)が24日、大阪市内で、舞台「海の上のピアニスト」(11月2日、京都芸術劇場 春秋座)の取材会を行った。

豪華客船の中で生まれ、生涯にわたり下船することがなかった天才ピアニストにふんする北翔は「お客さんも一緒に(豪華客船に)いるんじゃなきあ、と、錯覚するような空間に」と意気込んだ。

今作は、映画化もされたイタリア人作家、アレッサンドロ・バリッコの作品を舞台化したもので、昨年末に東京・天空劇場で上演。今回、再演が決まり、宝塚出身の北翔にとって“地元”へのがい旋となる。北翔が演じるピアニストは男性で、男役経験を生かした役柄になりそうだ。

「黒タキシードも着ますが、あんまり違和感はないんです。卒業してからも男装の麗人じゃないですけど、出雲阿国とか、性別を問わずに演じる作品が多くて…。今回も男性、女性という枠にとらわれず、船の中で生まれ育ち、船の中しか知らない、汚れを知らない中性的なイメージです」

役柄をこうとらえ、説明。「1人の人間を演じることに変わりはない」とも言い、自然体で臨む。

再演には「お客さまの声で(再演が決まり)うれしい。ピアノのメロディーに中毒性があって、またあの世界観に入れるのがうれしい。今度、終わったらロスになりそう」と笑う。

豪華客船の中から、外界へ足を踏み出せない設定には「外の世界が分からない恐怖心というのは、私も宝塚に20年おりましたから、外の世界へ飛び出してやってみたいという気持ちと、恐怖心に揺れる。(その心境が)分かりやすい」と話した。

北翔演は天才ピアニストを演じるが、ピアノの演奏はピアノデュオで「鍵盤男子」として注目されるの大井健(36)が務める。ひとつの役柄を「2人で1役」演じる異色の演出になる。