歌手原大輔(64)が1日、都内のライブレストラン「六本木クラップス」で、新曲「これからの人生」(作詞・円香乃、作曲・大谷明裕、編曲・伊戸のりお)の発表を兼ねたトーク&ライブを開催した。

原は「秋冬」(83年)のヒットで知られる。季節の変わり目に失恋を悟る女心を歌った名曲で、高田みずえさんら7人との競作になった。その中で、甘いボーカルで聴かせる原の曲が70万枚を売り上げ、オリコン1位、有線大賞新人賞を獲得。一躍注目されたが、大ヒットで常につきまとう同曲のイメージの“呪縛”に悩む時期もあった。

それから36年。老舗レコード会社テイチクエンタテインメント移籍第一弾シングルとして、9月18日に発売された新曲「これからの人生」は、熟年層に向けて「人生は これからさ まだまだ 終わりはしない…また来る 明日(あした)を生きる」と歌い上げる。原自身年を重ねて、より芳醇(ほうじゅん)な味わいとなった歌唱が、静から動へ盛り上がるメロディーに乗って、心に染み入る秀作である。伴奏に名画「第三の男」(49年、キャロル・リード監督)のテーマ曲で、アントン・カラスの名演奏で知られる弦楽器チターを使っている。関係者によると、チターを使ったのは日本の歌謡曲系では初めてという。原は「今の私が歌うべき作品に出会えてうれしい。歌うことをあらためて楽しいと感じています」と意欲的に話した。

トーク&ライブの1部では、原が幼少期に音楽と出会った「月の砂漠」から「秋冬」「黄昏」など、原の音楽人生がダイジェストで分かる作品が選曲された。2部では「慕情」「ゴッドファーザー 愛のテーマ」など映画少年だった原が愛する映画音楽を熱唱した。スペシャルゲストとして作曲の大谷氏がギター、編曲の伊戸氏がピアノで生演奏して花を添えた。

さらに新曲の発売を記念して「あなたの人生のこれから」をテーマに募集した「大人の作文」も、作詞の円氏の進行で披露された。原は「長い間、コンサートやっているけど、作詞、作曲、編曲の先生と一緒のステージに立ったのは初めて。とってもワクワクしました」と喜んだ。

新曲と同じ作家陣によるカップリング曲「俺の生きざま」は一転ロック調で、不器用だがいくつになっても信念を貫こうとする男の生きざまを歌う。こちらも聴き応えのある1曲だ。

原は「こういう時代だからこそ、人生を見詰め、考える歌をじっくりと歌って行きたい。同世代はもちろん、若い人たちにも聴いて欲しい」と話した。原大輔にとっても、まさにこれからの人生の新曲である。【笹森文彦】

◆原大輔(はら・だいすけ)本名・高梨雅樹。1954年(昭29)10月12日、千葉県生まれ。75年にフォークディオ、レイラとして「サマーエンジェル」でデビュー。その後、ソロとなりアニメソングなどを歌い、83年に原大輔の芸名で歌った「秋冬」がヒット。「恋暮色」(84年)はNHK古賀政男記念音楽大賞で優秀歌唱賞を受賞。歌手活動と並行して、NPO法人授産施設サポートハウスみやびの運営や、盲導犬チャリティーなど福祉活動にも積極的。血液型B。