ラグビーを題材とした80年代の伝説的ドラマ、TBS系「スクール☆ウォーズ」にメインキャストの1人として出演した俳優松村雄基(55)が、このほど日刊スポーツのインタビューに応じた。不良少年からラガーマンに成長する役で日本中を感動させた男が、明日5日、ラグビーW杯1次リーグのサモア戦を控える日本代表に熱いエールを送った。

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松村は「スクール☆ウォーズ」出演がきっかけとなりラグビーと出合い、現在も親近感から観戦している。先月28日、日本が強豪アイルランドに19-12で勝利したことに「見ている人に勇気を与えますよね。世界ランキング2位に互角以上の戦いで、押されなかったし、突進してきてもみんなで止める。『信は力なり』を実体験で経験させてくれた」と、劇中の名セリフを交えながら振り返った。

「川浜市」という場所を舞台に、高校の弱小ラグビー部が日本一になるまでを描いた「スクール☆ウォーズ」は視聴者を熱狂させ、ドラマ史に強烈なインパクトを残した。松村は“川浜一のワル”と恐れられる不良少年からラガーマンに成長する大木大助を演じた。

「朝、撮影に行くと、ラグビーシーンからなんです。走りまくって。その後は不良役だったのでケンカ。生傷が絶えませんでした」と苦笑いする。そして「僕が演じた『大木大助』は実家が貧しいという設定なのですけど、実話だったそうです。遠征に弁当を持って行けなくて、先生の奥さんが『余分に作っちゃったから』って渡した話があるのですが、実際にあったそうです」と秘話を明かした。

松村にラグビーの魅力を聞くと「懐の深いスポーツ。アイルランド戦もそうでしたが、負けた側のチームが勝ったチームをたたえるじゃないですか。まさにノーサイドですよ」。さらに「荒々しいスポーツですが、ルールを守るために審判とコンタクトをとりながらやっているそうなんです。熱く冷静にやっているんです。そして、チームプレーを大前提として他の人のために動く。“ワンフォーオール、オールフォーワン”。すてきなスポーツです」と熱く続けた。

日本代表の注目選手はSH田中史朗(34)だ。ドラマのモデルとなった京都・伏見工の“泣き虫先生”こと山口良治氏の教え子だからだという。「ドラマの中でも出てくる『信は力なり』という言葉が田中選手の座右の銘なんですよ。小柄で常にニコニコしていて、愛されキャラなんですが応援しています」。

サモア戦が5日に迫る。「サモアは前戦、スコットランドに得点できずに負けているから、一矢報いようとしてくるだろうし、油断できないですね。でも(13日の)スコットランド戦の前にとにかく3勝してもらって、なんとか決勝にいってもらいたい思いです」と願いを込めた。【上岡豊】

○…松村は舞台への出演が続く。今月12日からは京都・南座で「喜劇・道頓堀ものがたり」(11月5日まで)。11月20日から東京・俳優座劇場でミュージカル「Live Airline」(12月1日まで)に出演。近年はシャンソンにも挑戦しており、11月7日には東京・ヤマハホールで元宝塚の姿月あさと(49)らとコンサートも開催する。

◆「~泣き虫先生の7年戦争~スクール☆ウォーズ」 84年10月~85年4月までTBS系で放送。伏見工ラグビー部を題材にした学園ドラマ。山口良治監督をモデルにした熱血教師役を山下真司(67)が務めた。麻倉未稀の主題歌「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」も大ヒット。今年9月にはDVDボックスが発売され人気となるなど、現在も多くのファンがいる作品となっている。

◆松村雄基(まつむら・ゆうき) 1963年(昭38)11月7日、東京都生まれ。80年テレビ朝日系ドラマ「生徒諸君!」でデビュー。84年にはTBS系「少女が大人になる時 その細き道」「不良少女とよばれて」「スクール☆ウォーズ」と人気ドラマに次々出演した。01年からはテレ朝系「暴れん坊将軍」に出演するなど数々のドラマ、映画で活躍。書家としては東京書作展で内閣総理大臣賞受賞。178センチ。