マルチタレント片岡鶴太郎さん(64)をインタビューした。

ご存じの通り芸人、俳優はもちろん、画家、書家、プロボクサー、ヨーギーなどさまざまな顔を持つが、その1つ1つの突き詰め方が常人のそれとは次元が違う。芸能人に限らず、これまでにお会いした各界の一流と呼ばれる人たちに共通していることは、興味を持ったことへの突き詰め方だ。実際、鶴太郎さんは絵に出合ってからの25年間は、芸人としての露出を抑えてまで、取り組んできた。

さまざまなことに挑戦し突き詰めることで「共通点に気付いた」という。それは“反復”だ。「ボクシングも、絵も、お笑いも、ヨガも、共通していることがあって、会得するために必要なこと。それは全て反復です。これしかない。ボクシングは基本にのっとってワンツーを体に覚えさせて、意識しなくても出てくるようにしなくてはならないし、絵も描いて描いて描きまくって線を鍛え、包丁もさばいて鍛えていくしかないんです」。

そう話す姿は、もはや求道者だ。「いや~、そういう風には何も感じていませんけど(笑い)。でも、やりたいと思うのは意識でそう思うわけではなく、ある日突然思うわけですから、これは何かの啓示で、そこには何かあるなと。それが何なのかを知るために、着手しなければとなるわけです。やればちゃんとギフトがあるんです。それを反復することでその抽象的だったものが具体性を帯びて、なんとなく肉体と感受できて、それが自分にとって、ものすごく近づくことができているんです」と語った。その姿こそ、まさに求道者に見えた。