「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)が、11日までに決まった。

池松壮亮(29)が主演男優賞に輝いた。「宮本から君へ」で人一倍正義感だけは強い超不器用人間「宮本浩」を熱演。セックスシーン、罵倒シーン、ガチけんかシーンと全ての芝居に強烈な熱量を見せ、高い評価を受けた。

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主演男優賞受賞を「いやーうれしいもんですね。決して何かに向かってやっているわけではないんですけど、その時その時のベスト、高みを目指してやっている。それが評価していただけるのは励みになりますね」。ゆっくりとした口調で喜びを表現した。

演じた宮本浩を「ヒーロー」と語り「自分自身よりぼくが演じた宮本の方が好き」とまで言い切る。「宮本の力に僕自身がいつも以上に高みに連れて行ってもらった気がする。ぼくがもらうというより宮本に手渡したい」と感謝した。

20代のテーマは「近道をしないこと。何とか日本映画の力になること」。「これだけ近道せずやってきた結果が『宮本かー』とも思いました。『まじか』って(笑い)」と強烈な熱量をもつ宮本という役に苦労したが「最後に回ってきたのが宮本だったとするとそういう風になっていたんじゃないかな」と運命を感じている。

宮本の「生きることを奮起させること」によって、映画を見た人の生活に影響を与えることができたという。「映画をみた友人がご飯をすごく食べて帰ったり、走って帰ったり。映画のできることってそういうところ。見てくれた人の足取りを変えること」と手応えを口にした。

生きる意味、人生の意味を知るために映画とともに進んできた。30代について聞くと「これからのことはおいておいて(笑い)」と多くを語らない。だが、宮本を通して「生きることを奮起させること」という映画の役割を再認識したという。今後も映画とともに歩み続ける。【佐藤成】

◆宮本から君へ 90年「モーニング」で開始した新井英樹氏の原作コミックを映画化。愚直な熱血営業マン宮本の七転八倒の生きざまが描かれる。池松壮亮主演で、昨年、テレビ東京系でドラマ化された。映画では蒼井優をヒロインに「究極の愛の試練」が描いた。

◆池松壮亮(いけまつ・そうすけ)1990年(平2)7月9日、福岡県生まれ。03年「ラストサムライ」で映画デビュー。05年「鉄人28号」で映画初主演。14年に「愛の渦」「海を感じるとき」などで第38回日本アカデミー賞新人俳優賞、日刊スポーツ映画大賞助演男優賞などを受賞。172センチ。血液型A。

▽主演男優賞・選考経過 「いろいろ挑戦していて、断トツの主演男優。挑戦する覇気はいい」(秋山登氏)と松坂桃李を推す声と、「全身全霊をかけ、作品をけん引した」(伊藤さとり氏)「あれほどの熱量は評価したい」(寺脇研氏)と池松への評価も高い。接戦で池松が過半数獲得。