東京・歌舞伎座が1日、「八月花形歌舞伎」(26日まで)で156日ぶりに公演を再開した。

今月は4部制で、午前11時に第1部「連獅子」の幕が上がり、片岡愛之助、中村壱太郎が登場すると、禁止された「かけ声」の代わりに、拍手がいつもよりもひときわ大きく、長く続いた。長唄、鳴り物の奏者、後見も特製の黒いマスクを着用し、出演者も距離をとって演じた。

幕が下りると、観客からの拍手はしばらく続き、初日を見守った松竹の迫本淳一社長は「カーテンコールを求める観客の皆さんの拍手に感動しました」。愛之助らの熱演に「『半沢直樹』だけじゃない。ホームグラウンドで頑張っている姿は、俳優冥利(みょうり)に尽きると思う」と、愛之助をはじめ、香川照之こと市川中車、市川猿之助、尾上松也ら歌舞伎俳優が大挙出演する人気ドラマ「半沢直樹」を引き合いに、激励した。

感染対策のため、入場時に手指を消毒し、検温を行うほか、公演中も扉を開放して換気を促し、各部ごとに、出演者、スタッフを総入れ替えし、他の部の出演者との接触を回避している。第2部は中村勘九郎らの「棒しばり」、第3部は市川猿之助、中村七之助の「吉野山」、第4部は松本幸四郎の「源氏店」。