新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2月26日に政府がイベント自粛要請をして以降、特に音楽ライブイベントは中止・延期を強いられ、打撃を受けてきた。7月からプロ野球やJリーグで「上限5000人または収容人員の50%のうち少ない方」で有観客試合が行われ、先月から音楽イベントも有観客のライブも徐々に増えてきた。

今月4日に細川たかし(70)の芸道45周年を記念した「チーム細川 スペシャル歌謡ステージ」(東京・北とぴあ)、同6日に松崎しげる(70)が主催する「黒フェス2020 白黒歌合戦」(東京・立川ステージガーデン)、=LOVE(イコールラブ)の3周年コンサート(パシフィコ横浜)と有観客ライブを取材した。

もちろん各会場、消毒・検温の実施、客席間を空けるなどの感染対策を十分行った上で、さらに歓声は禁止し、ファンはペンライトや拍手で“声援”を送った。共通して感じたことは、ファンの、とてもうれしそうな表情だった。イコラブのライブでは、感極まって涙するメンバーやファンもいた。もちろんすぐ目の前にアーティストがいるのに、声援を送れないもどかしさもあるだろう。それでも“生”の現場は、やはり格別なんだと改めて実感するのだろう。細川は「お客さんがいるのといないのはやっぱり違う」と話しつつ、「こういう時期に足を運んでこられるのは度胸がいることだと思う」とファンのことをおもんぱかった。

今後も、ライブを開催することのリスクは常に伴うだろうし、もしかしたらクラスター化してしまう現場も生まれるかもしれない。そう考えるとなかなか現場に足が向かないファンも少なくないと思う。それでも、1つ1つの現場の成功経験をしっかり積み上げながら、エンタメ界が前に進んでいくことを願っている。