吉川英治賞」の授賞式が2日、都内で行われ、「第42回吉川英治文学新人賞」をNEWS加藤シゲアキ(33)の小説「オルタネート」(新潮社)が受賞した。武田綾乃さんの小説「愛されなくても別に」(講談社)も同時受賞した。 「オルタネート」は、高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった世界を舞台にした青春群像劇。加藤は同作で164回直木賞に候補入りし、2021年本屋大賞にもノミネートされている。

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吉川英治文学新人賞の過去の受賞作(敬称略)

▽第1回(80年)

加堂秀三「涸瀧」(文藝春秋)

田中光二「黄金の罠」(祥伝社)

▽第2回(81年)

栗本薫「絃の聖域」(講談社)

南原幹雄「闇と影の百年戦争」(集英社)

▽第3回(82年)

澤田ふじ子「陸奥甲冑記」(講談社)

澤田ふじ子「寂野」(講談社)

▽第4回(83年)

赤瀬川隼「球は転々宇宙間」(文藝春秋)

北方謙三「眠りなき夜」(集英社)

▽第5回(84年)

連城三紀彦「宵待草夜情」(新潮社)

山口洋子「プライベート・ライブ」(講談社)

▽第6回(85年)

船戸与一「山猫の夏」(講談社)

▽第7回(86年)

高橋克彦「総門谷」(上・下)(講談社)

▽第8回(87年)

景山民夫「虎口からの脱出」(新潮社)

▽第9回(88年)

清水義範「国語入試問題必勝法」(講談社)

▽第10回

椎名誠「犬の系譜」(講談社)

岡嶋二人「99%の誘拐」(徳間書店)

▽第11回(90年)

小杉健治「土俵を走る殺意」(新潮社)

▽第12回(91年)

大沢在昌「新宿鮫」(光文社)

伊集院静「乳房」(講談社)

▽第13回(92年)

中島らも「今夜、すべてのバーで」(講談社)

宮部みゆき「本所深川ふしぎ草紙」(新人物往来社)

▽第14回(93年)

帚木蓬生「三たびの海峡」(新潮社)

▽第15回(94年)

薄井ゆうじ「樹の上の草魚」(講談社)

東郷隆「大砲松」(講談社)

▽第16回(95年)

浅田次郎「地下鉄に乗って」(徳間書店)

小嵐九八郎「刑務所ものがたり」(文藝春秋)

▽第17回(96年)

真保裕一「ホワイトアウト」(新潮社)

鈴木光司「らせん」(角川書店)

▽第18回(97年)

馳星周「不夜城」(角川書店)

服部真澄「鷲の驕り」(祥伝社)

▽第19回(98年)

花村萬月「皆月」(講談社)

▽第20回(99年)

山本文緒「恋愛中毒」(角川書店)

▽第21回(00年)

宇江佐真理「深川恋物語」(集英社)

▽第22回(01年)

野沢尚「深紅」(講談社)

▽第23回(02年)

大崎善生「パイロットフィッシュ」(角川書店)

▽第24回(03年)

福井晴敏「終戦のローレライ」(上・下)(講談社)

諸田玲子「其の一日」(講談社)

▽第25回(04年)

伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」(東京創元社)

垣根涼介「ワイルド・ソウル」(幻冬舎)

▽第26回(05年)

恩田陸「夜のピクニック」(新潮社)

瀬尾まいこ「幸福な食卓」(講談社)

▽第27回(06年)

今野敏「隠蔽捜査」(新潮社)

▽第28回(07年)

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」(全3巻)(講談社)

▽第29回(08年)

佐藤亜紀「ミノタウロス」(講談社)

▽第30回(09年)

朝倉かすみ「田村はまだか」(光文社)

柳広司「ジョーカー・ゲーム」(角川書店)

▽第31回(10年)

池井戸潤「鉄の骨」(講談社)

冲方丁「天地明察」(角川書店)

▽第32回(11年)

辻村深月「ツナグ」(新潮社)

▽第33回(12年)

西村健「地の底のヤマ」(講談社)

▽第34回(13年)

伊東潤「国を蹴った男」(講談社)

月村了衛「機龍警察暗黒市場」(早川書房)

▽第35回/2014年

和田竜「村上海賊の娘」(上・下)(新潮社)

▽第36回(15年)

西條奈加「まるまるの毬」(講談社)

▽第37回(16年)

薬丸岳「Aではない君と」(講談社)

▽第38回(17年)

本城雅人「ミッドナイト・ジャーナル」(講談社)

宮内悠介「彼女がエスパーだったころ」(講談社)

▽第39回(18年)

佐藤究「Ank: a mirroring ape」(講談社)

▽第40回(19年)

塩田武士「歪んだ波紋」(講談社)

藤井太洋「ハロー・ワールド」(講談社)

▽第41回(20年)

今村翔吾「八本目の槍」(新潮社)

呉勝浩「スワン」(KADOKAWA)

▽第42回(21年)

加藤シゲアキ「オルタネート」(新潮社)

武田綾乃「愛されなくても別に」(講談社)

◆吉川英治文学新人賞 作家吉川英治の偉業を記念して設立され、第1回は1980年(昭55)。選考は年1回、3月上旬に実施。大衆文学が対象となる。同時に「吉川英治文学賞」「吉川英治文化賞」「吉川英治文庫賞」も選考される。これまで北方謙三氏、伊集院静氏、宮部みゆき氏、浅田次郎氏、馳星周氏、伊坂幸太郎氏、恩田陸氏らが受賞。