新進の脚本家を選奨する第9回市川森一脚本賞が、フジテレビ系連続ドラマ「アライブ がん専門科医のカルテ」(20年1月期)を書いた倉光泰子氏(37)に決まり9日、都内で会見した。同脚本賞は市川さんらしいファンタジーな作品に贈られるケースが多いが、今作は悪人がいないドラマという設定が評価された。

倉光氏は「最初は復讐(ふくしゅう)劇の作品にする予定だったが、話し合いの中で医療ドラマになった。人のいい面を描くのは苦手だし、医療を描く不安もあったが、監修の先生に助けていただき、資料を読み、人間の素晴らしさをあらためて学びました」と喜びを語った。

がん専門医が主人公だが、外科ではなく、腫瘍内科医を選んだ。倉光氏は「調べれば調べるほど病気と戦い、ともに寄り添って生きる世界があると思った。腫瘍内科医はあまり注目はされないが、患者と伴走し、一緒のペースで治療するという面が求められているのではないか」と説明した。

夫と長男(10)長女(6)の4人家族。今回の受賞には長男が喜んでくれたという。「子どもたちが作品を見ることはありません。夫には何か言われたくないので、見せないようにしています」と笑った。