トランプ米前大統領が、米ジョージア州で成立した投票権を事実上制限する新選挙法に抗議するために米大リーグ機構(MLB)が今年7月に行われるオールスターゲームの開催地を変更すると発表したことを受け、大リーグのボイコットを呼びかけている。

トランプ氏は「野球界はすでに膨大な数のファンを失っているのに、オールスターゲームをアトランタで行わないという。それは選挙の際に必要な身分証明書を持とうとしない急進左派の民主党員を恐れているからだ。自由で公正な選挙を妨害した野球やすべての企業をボイコットしよう」と声明を発表。MLBの幹部は急進左派の民主党を恐れていると主張し、大リーグ以外にもジョージア州の新法に反対を表明した州内に拠点を置くコカ・コーラやデルタ航空などの企業を名指しで批判し、ボイコットするよう呼びかけた。

昨年の大統領選で民主党のバイデン氏に同州で敗れたトランプ氏は「選挙で不正があった」と繰り返し主張していた。ジョージア州では先月、選挙の期日前投票を巡って運転免許証など政府発行の身分証明証の確認を厳格化するなど有権者の投票を制限する新法が設立。しかし、これに対してバイデン大統領が投票する権利の否定だと批判するなど、州内の人口のおよそ3分の1を占める黒人などマイノリティーの投票を排除するのが狙いだとして抗議の声が上がっていた。

オールスターゲームでナショナルリーグの監督を務めるドジャースのロバーツ監督は開催地が変更されなければ辞退を検討すると表明し、バイデン大統領も開催地変更案を支持するとESPNに語り、最終的にMLBのコミッショナーは2日に「すべてのアメリカ人が投票権を持つことを支持しており、投票の制限に反対する」と声明を発表し、開催地を変更する決断を下した。新たな開催地は決まっていないが、カリフォルニア州のニューサム知事は「カリフォルニア州は投票者のアクセス拡大に努めているので、お気軽にお電話ください」とツイートし、開催地候補に名乗りを上げている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)