西田敏行(73)が、吉永小百合(76)の主演映画「いのちの停車場」(成島出監督、5月21日公開)と同名の応援歌を歌うことが21日、分かった。

劇中で、吉永演じる医師の白石咲和子が在宅医療を行う「まほろば診療所」院長の仙川徹を演じた西田は、1981年(昭56)の代表曲「もしもピアノが弾けたなら」でも披露した、情感あふれる歌声で熱唱。「皆さんにパワーをお届けできるすてきな楽曲になったと思います。この映画のテーマ『いのち』『人生』の中にある、希望を感じていただけたらと思います」とコメントした。

西田は、19年の主演映画「任■学園」の挿入歌として、尾崎紀世彦さんの代表曲「また逢う日まで」を東京スカパラダイスオーケストラとコラボしてカバーした。また2月26日にTBS系で放送されたドラマ「俺の家の話」で名曲「マイ・ウエイ」をカバーしたことも話題となった。オリジナルで制作された楽曲を歌うのは、セブン&アイ・ホールディングス「父の日キャンペーン」CMソングの11年「バトンタッチ」以来10年ぶりとなった。

応援歌は、20年11月に亡くなった東映の岡田裕介会長(享年71)からオファーを受けた、ギタリスト村治佳織(43)が作曲したエンディングテーマに、シンガー・ソングライター小椋佳(77)が作詞したもの。同会長は20年夏に村治に作曲をオファーし、デモテープを聴き、その素晴らしさに非常に満足し「エンディングとしては歌詞のない女声ボーカリーズを採用し、それに歌詞を付けて制作できないか」と提案。そして、40年来の親交がある小椋に正式に作詞を依頼しようとしていたが、デモテープを聴いて5日後の20年11月18日に急逝。そのため、東映の関係者が今年の年始に、小椋に作詞を依頼した経緯がある。岡田会長は生前「小椋佳さんに詩をお願いして、村治さんに曲をつけてもらって、歌は西田に歌わせてくれよ」と語っていたという。

レコーディングは3月末に行われ、西田は左手に持ったつえで体を支えつつも、マイクの前に立ち、語りかけるように歌い始めた。サビの部分では、右手を腰に当て、左拳を握ると力強く、高音域では伸びやかに歌い上げた。そして「どこか裕介さんの遺言のような気持ちがしながらも、精いっぱいやらせていただきました」と振り返った。楽曲については「小椋さんの詩は、まさにこの映画で言いたいことをそのまま込められているような本当に素晴らしい散文詩で、村治さんの音の紡ぎ方もとても素晴らしく、感動しました」と語った。

作曲した村治もレコーディングに立ち会い、西田の歌声に感動し「今ここでセッションをしたい」と熱望したという。「西田さんが歌唱してくださると聞いて、天国の岡田会長からの最高のプレゼントだと思いました。レコーディングで初めてお会いした際に『役者の歌ですから』とおっしゃっていたのが印象的でした。演じることを極めておられる西田さんの、曲を表現する力に圧倒されました。音に乗せて、言葉ひとつひとつに命を吹き込むとはどういうことかを目の当たりにしました」と西田の歌唱に感激。西田は「最初に受けた感動をそのまま持ち、レコーディングに挑みましたが、歌い終わるとみなさん感動した面持ちで入ってこられて『すてきです!』とおっしゃっていただいたので、自信を持ちました」と笑みを浮かべた。

吉永は「優しくて、温かくて、その上力強い西田さんの歌声に圧倒されました。『厳しい状況に負けないで』と私たちみんなを応援してくれる曲です」と絶賛した。

※■=人ベンに峡の旧字体のツクリ