佐藤二朗(51)が原作、脚本、監督、出演の4役をこなした映画「はるヲうるひと」(6月4日公開)の完成報告会見が28日、都内で行われた。原作となった舞台は10年前に初演。架空の島を舞台に売春宿で生きる人々を描く。

「シリアスな作品なんだから、きょうはおちゃらけないでやりなさいと妻に言われた」という佐藤は、日ごろのキャラを封印して真顔を貫いた。「知り合いの作家さんからは、地雷だらけで誰も手をつけないような題材と言われたけど、そういうのが好きだし、出演者の皆さんを難しい世界に追い込みたかった」とも。

主演の山田孝之(37)が「まず脚本が面白い。得太(役名)という素晴らしい存在は今も生き続けている」と独特の表現で話すと、佐藤が横から「変な言い方でしょ。おかしいでしょ。いい役者ってそうなんです。あるシーンでは(役に入って)1日泣いていた。あんな孝之は初めて見た」と監督らしくフォローした。

佐藤が「適当に作った。僕なら絶対間違える」という架空の方言を一語一句完璧にものにしたという坂井真紀(50)は「ある意味ひどい仕打ちかもしれないけど、素晴らしく、監督の才能を実感してもらえる作品です」と笑顔を見せた。

舞台から同じ役で出演している今藤洋子、笹野鈴々音も出席した。