渋沢栄一の生涯を描く吉沢亮主演のNHK大河ドラマ「青天を衝け」(日曜午後8時)に、栄一のいとこ・尾高長七郎役で出演する満島真之介(31)がこのほどコメントを寄せた。自身が重要な役どころを担う、2日放送の第12話「栄一の旅立ち」の見どころも語っている。

満島演じる長七郎は、栄一に学問や剣を教える尾高惇忠(田辺誠一)の弟で、神道無念流(しんどうむねんりゅう)の剣豪として名をとどろかせるようになる。家を守る兄に代わって江戸や京に遊学に行き、栄一らに世情を伝える。

栄一や喜作(高良健吾)にとっての兄貴分となる役柄で、満島は「栄一と喜作、平九郎(岡田健史)、惇忠兄達と長い時間を共にしてきたことで愛情も深まり、顔を合わせるとうれしくて心穏やかになるような方々とご一緒させていただいていることへの感謝であふれています」。栄一と喜作は一橋家に仕え、長七郎は攘夷(じょうい)志士となることで道が分かれるが「お互いの環境が大きく変わっていく中で、実際に撮影現場で会えない時間が長くなり、『彼らはこんなにも離れていたんだな』と実感しているところです。これも長い期間撮影を行う大河ドラマでしか味わうことのできない感情でしょうね」と話す。

別番組の収録で同局を訪れた際、武士姿の吉沢に出会ったといい「それがもう美しくて、りりしくて、涙が出そうでした。(いや、ちょっと出てました。笑)」と明かす。また「久しぶりに会えた喜びと、役と本人が時間をかけて重なり生きているということを心から感じられた瞬間でした。『長七郎と栄一はもう全然違うところで生きている』と肌で実感できたことが、これからの撮影の力になると思います」。

江戸への武者修行で心身共に大きく変わった長七郎については「現代で例えると、田舎から東京の大学に行った同級生が夏休みに帰省した時に、何に影響されたのかすごく変わってしまった…みたいな(笑い)」。一方で「そういう経験は遠からずみなさまにもあるはずです。しかしそうは言っても当時は、今とは比べものにならないほど江戸の影響力はすさまじかったと思います」と語る。ドラマでは描ききれない長七郎を表現するため、「視野を広く持ち、りりしくも心優しい長七郎にするための体や心づくりを日々怠らずにやることに集中しています」。

2日放送の第12話「栄一の旅立ち」では、長七郎が栄一たちの画策する“高崎城乗っ取り”計画を命懸けで阻止する場面が描かれる。渋沢を語る上では欠かせない出来事だけに「栄一と“命のやりとりをするのはここだ!”と撮影に入る前から非常に楽しみにしていました」と満島。「歴史上ほぼ知られていないような謎の多い人物ではありますが、この計画実行を止めたからこそ、みなが生き残り、そしてその命が現代の日本に繋がっているんです」と力を込める。「命を懸けて仲間と向き合うその姿は、尾高長七郎自身の魂が時を超えて、未来に向かう私たちに向けたメッセージにもなるはずです。この作品は単なる歴史ドラマではなく、今を生きる我々にとって大いなる勇気を与えてくれる貴重な作品だと思います」と話している。