世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭ある視点部門でのオープニング上映作品に決まったフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の合作映画「ONODA(原題)」(今秋公開)に、仲野太賀(28)井之脇海(25)らが出演していることが24日、発表された。

「ONODA(原題)」は、太平洋戦争後も任務解除の命令がないままフィリピン・ルバング島で過ごし、約30年後の1974年(昭49)に51歳で日本に帰還し14年に91歳で亡くなった、旧陸軍少尉の小野田寛郎さんの史実をもとにした作品で、遠藤雄弥(34)が小野田寛郎の青年期を演じ、成年期を演じた津田寛治(55)とダブル主演している。

仲野は、小野田に戦争の終わりを告げる鈴木紀夫を演じる。また小野田と最後まで生き残った小塚金七のを青年期を、松浦祐也(40)成年期を千葉哲也(57)が演じる。また映画監督の諏訪敦彦(61)が小野田の父種次郎を、小野田に最後の指令を命じ、渡した谷口義美をイッセー尾形(69)が演じる。また追加キャストとして、井之脇のほかカトウシンスケ(39)足立智充(41)吉岡睦雄(44)嶋田久作(66)伊島空(26)森岡龍(33)も発表された。

監督は、16年の長編映画デビュー作「汚れたダイヤモンド」(2016)でフランス批評家協会賞・新人監督賞のほか数々の賞を総なめにした、フランスの新鋭実力派アルチュール・アラリ監督(39)が務めた。同監督は全編日本語での演出にこだわり、徹底したリサーチと演出力で、史実をもとに小野田という1人の男が生き抜いた孤独と壮絶な日々を描いた、人間ドラマを作り上げた。現地時間7月7日に公式記者会見と公式上映が行われる予定で、アラリ監督がワールド・プレミアの瞬間に立ち会う予定。

ある視点部門は、カンヌ映画祭の公式セレクションの一部門で、新人&ベテランの監督作関わらず独自で特異な作品群が選考され、毎年、世界各国から20本ほどの作品が選出されている。日本映画では、黒沢清監督が08年「トウキョウソナタ」で審査員賞、15年「岸辺の旅」で監督賞、深田晃司監督が16年「淵に立つ」で審査員賞を受賞。日本人俳優が関わる作品がオープニング上映作品となるのは、河瀬直美監督の15年「あん」以来となる。