菅義偉首相(72)の素顔に迫ったドキュメンタリー映画「パンケーキを毒見する」(30日公開)の河村光庸エグゼクティブプロデューサーと内山雄人監督が28日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

河村氏は15日に都内で「某大学の芸術学部の皆さんと、別の場所で大学生の政治サークルの皆さんにお見せしました」と大学生向けに試写会を行ったと説明。その上で「アンケートで、某大学の芸術学部の学生は、政治に全く興味がないということでした。この映画を見た後、最後に『あなたは選挙に行きますか?』と聞くと、ほとんどの学生が『必ず行く』と答えました。私は大変、感激しました」と振り返った。

映画の中には、大学生や若者が政治や社会について語る場面がある。内山監督は「『パンケーキを毒見する』の、毒の矛先は国民に向かう。痛感したのは若い人は明るい未来を描いていない。この国のかじ取りをやらせた大人に責任がある。投票して欲しいなと思い、作った。投票率を上げる一歩になれば良いなと思う」と語った。

内山監督は、トランプ前大統領を題材とした18年の映画「華氏119」など、政治を風刺する映画を作ることで世界的に知られる米国のマイケル・ムーア監督を引き合いに「日本はG7の中でも断トツに低い投票率。政治の話をほとんどしない。政治ドキュメンタリーという真面目な感じで売り出しても、見る人は限られてしまう。日本にマイケル・ムーアはいない」と指摘。その上で「現役総理大臣を笑えるコメディーにして、事実を面白く構成した政治バラエティーにすれば、政治に興味が湧かない人にも、少しは届くんじゃないかと挑戦した」と語った。

河村氏は東京オリンピック(五輪)後の9月、もしくは10月に衆院選が行われるであろうと見通しを示した。その上で「若い人が無党派層であり(政治に)全く興味がないのが日本の現状。ぜひ若い人、無党派層…そして自民党員の方に見ていただきたい」と映画を見た上で、政治と選挙に関心を持ち、投票行動につながって欲しいと願った。

「パンケーキを毒見する」は、19年の映画「新聞記者」でも現在の日本の政権、政治と社会に疑問を投げかけた河村氏が陣頭指揮を執り、製作。公開日を東京オリンピック(五輪)期間中の30日をあえて選んだ。同氏は、映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)が助成金交付内定後に下された不交付決定の行政処分の取り消しを求めて、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)を訴えた裁判で、6月21日に不幸不処分の取り消しを命じる判決を勝ち取ったが、芸文振が5日に控訴している。