明治座11月公演「本日も休診」(11月12日初日)の制作発表会見が21日、都内で行われた。主演柄本明(73)、笹野高史(73)、佐藤B作(72)という演劇界の「戦友」が新作舞台で一堂に会し、ともに「夢のよう」と涙する一幕があった。

東京乾電池の柄本、自由劇場の笹野、東京ヴォードヴィルショーの佐藤は、20代のころに自由劇場に所属した「戦友」という間柄。50年後も新作舞台で共演できることに感無量の様子をみせた。

柄本は「同窓会みたい」と苦笑いしながらも、「戦友ですよ。本当に…」と語ると、みるみる涙をため、言葉を詰まらせた。その姿を見た笹野も両手で顔を覆って涙をぬぐい、「泣けちゃう。稽古場にいられるのがありがたい。長生きしていればいいことがある」。佐藤も「20代の食えないころにバイトしながら演劇をやっていた仲間。よく演劇人として生きてこられた。うれしい。これを最後に死んでもいいかな」と笑わせた。

演出のラサール石井(66)は「学生時代、通って観ていた乾電池、ヴォードヴィル、自由劇場のあこがれの方たちを演出することになり、当時の自分に言ってあげたい気持ち」と感激。「このまま大河ドラマの発表といってもいい豪華な顔ぶれ。控室が全員個室というのを初めて見た」と笑った。柄本の妻役を演じる花總まり(48)は「語らずとも分かり合える空気感や、お互いへのリスペクトを稽古場でも感じます」と話した。

作品は、実在した医師、見川鯛山の人気エッセー「田舎医者」シリーズをもとに書き下ろした新作舞台。那須高原で診療所を構えるおおらかな人柄の医師と、個性豊かな村人たちとの交流をユーモラスに描く。