「パラサイト 半地下の家族」で20年に米アカデミー賞で外国語映画で史上初の作品賞、監督賞、脚本賞、国際(長編)映画賞の4冠を獲得した、韓国のポン・ジュノ監督(52)が7日、都内で開催中の東京国際映画祭が国際交流基金アジアセンターと共催する「トークシリーズ@アジア交流ラウンジ」の一環として、「竜とそばかすの姫」の細田守監督(54)とオンラインで対談した。その中で、実写映画とアニメ映画を作っていると語った。さらにアニメは「トイストーリー」のようなCGを使った作品になると明かした。

ポン・ジュノ監督は、冒頭で「パンデミックの時期がありましたが、頑張って2本、シナリオを書きました」と語った。細田監督から「(今、滞在してるのは米国の)ロスということですが、撮影の準備ですか?」と問いかけられると「1本は米国の作品になっていまして来年、撮影を目標に、その準備のためにロスでいます。もう1つは韓国のスタッフと作るアニメです」と明かした。その上で「『グエムル』(06年)『Okja/オクジャ』(17年)でCGを使った経験を元にCGアニメ…『トイストーリー』のようなものに挑戦しています」と笑みを浮かべた。

ポン・ジュノ監督は、92年に大学の映画サークルでストップモーションの短編アニメを作った経験はあると明かした上で「僕にとってアニメは初めてのチャレンジ。たやすいことにはならないと思っています。見たことのないビジュアルを作ろうと試しているところ」と挑戦の一端を明かした。その上で「CGでも人間の感覚がつかめるもの…触覚、テクスチャーを大事にしてきましたが、カステラの表面、古いテーブルを触りたくなるような表現を、CGでも出来るんじゃないかと。人間的な情緒、香りがギュッと詰まったCGを作りたい」と語った。

そして、細田監督に向けて「何分、初めてなので実写の枠組みを離れて、アニメ的なものを、どれくらい出来るか…チャレンジであり野心。1度、ご指導を仰ぎたい」と細田監督に依頼した。同監督も「新しいものにチャレンジするバイタリティーは素晴らしい。新しいアニメの可能性を開いて欲しい」と期待を寄せた。

ポン・ジュノ監督は、細田監督からアニメ映画の内容について聞かれると「『深海』というフランスの科学書籍を、妻が本屋さんで見つけて、僕にプレゼントとしてくれました。その中にあった写真がビジュアル的にも美しく、なかなか生きている中で直接、出会うことのない深海数千メートル奥底に生きている深海の生物たちが独特の美しさ、カラーをたたえ、既にアニメーションのキャラクターのようなカラーを持っていました。神秘的で…その写真集を見たことが出発点になりました」と、きっかけを語った。

その上で、物語について「同じ地球に住んでいながら、なかなか出会うことのない海の奥底の暗闇で1年、全く日の光に当たることのないところで暮らす主人公たちが、ある事件を通じて人間たちと出会うストーリーを構想しました」と説明。「今年の頭からシナリオを書いていて、キャラクターについてもスタッフと考えながら準備しているところです」と明かした。