フランスで開催中のカンヌ映画祭で26日(日本時間27日)コンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(59)が手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」が公式上映された。

上映後、スタンディングオベーションが12分も続いたことに、是枝監督は「12分だった? すごく反応は良いなと思ったけど…12分というのは長いなと。温かい拍手と笑顔に包まれた、いい時間だったなと思います」と笑顔で振り返った。

是枝監督は上映後、日本のメディアの取材に応じた。その中で、上映中、隣に座った主演のソン・ガンホ(55)と手を握り合ったと明かした。「ちゃんと笑うところで笑い声が聞こえて、隣のソン・ガンホさんと手を握り合って、良かったなという感じで、最後まで僕も楽しめたので、良い上映じゃないかと思います」と笑顔で語った。

俳優陣は、完成版を公式上映で初めて見たという。是枝監督は「彼らも本当に完成したものを見るのは、初めてだったので、ソン・ガンホさんは『本当に良い映画になった。撮っている時は、こんなに感動的な映画になるとは正直、思っていなかった』という、本当に正直な感想を(公式上映から)戻ってこられてからされていて、編集を頑張って良かったなと思いました」と喜んだ。

公式上映には、ソン・ガンホのほか、出演したカン・ドンウォン(41)、IUとして絶大な人気を誇るシンガー・ソングライターのイ・ジウン(29)、人気ドラマ「梨泰院クラス」にも出演したイ・ジュヨン(30)が参加した。是枝監督は「イ・ジウンさんとイ・ジュヨンさんも初めてのレッドカーペットでしたし、すごく緊張したって言っていましたけど『見ている途中で笑い声が起きて、ホッとした』と言って。今も2人と話してきたんですけど、緊張感がほぐれて、良い笑顔を見せていました」と振り返った。ただ、09年「空気人形」に出演して以来の再タッグとなった、ぺ・ドゥナ(42)は映画祭に参加できなかった。是枝監督は「ペ・ドゥナさんが来られなかったのは残念ですけど、また集まることが出来たということの感慨が大きかったと思いますけど、今日は」と感慨深げに語った。

是枝監督にとって、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門への出品は、18年に同賞を受賞した「万引き家族」以来4年ぶり6度目。19年に同賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)にも主演した、ソン・ガンホとのタッグで2度目のパルムドールを狙う。是枝監督は公式上映で観客の反応を見ての手応えを聞かれ「かなり、笑い声が起きていたので、どのくらい現場で感じていたことが字幕になって伝わるのかが多少、不安だったんですけど、大丈夫だったみたいです」と語った。

授賞式は28日(日本時間29日)に行われる。是枝監督は「今回、上映までが(映画最終盤での公式上映で)長かったので(賞レースを予想する)星取りとかも全く無縁のまま、ここに来ています。終わりまで気持ちがザワザワしたりせず、最後までいけるんじゃないかと思っていますけど」と笑顔で語った。