米俳優ジョニー・デップ(58)から名誉毀損(きそん)で訴えられていた裁判で敗訴した元妻で女優のアンバー・ハード(36)の代理人弁護士が2日、賠償金の支払いは不可能だと語り、上訴する意向を示した。

米NBCテレビの番組トゥデーに出演した弁護士は、前日の敗訴を受けてキャスターから上訴する予定について問われると、「もちろんです」と即答。さらに1035万ドル(13億4550万円)の賠償金を支払うことができるのか問われると、「絶対に無理です」と述べた。

ハードが2018年に米ワシントン・ポスト紙に「自身は家庭内暴力(DV)被害者」であると寄稿した記事を巡り、デップは自身を名指しこそしていないもののイメージを傷つけられ、キャリアに影響を及ぼしたとして5000万ドル(65億円)の損害賠償を求めていた。一方のハードも名誉毀損で1億ドル(130億円)を求めて反訴していた。バージニア州の郡裁判所の陪審団は1日、デップの主張をほぼ認める評決を下し、ハードに対して1500万ドル(19億5000万円)を支払うよう命じたが、その後、州の規定で1035万ドルに減額。一方で、デップ側の発言の一部もハードに対する名誉毀損に当たるとしてデップには200万ドル(2億6000万円)を支払うよう命じている。

ハードの弁護士は、2020年に英国で行われたデップを「DV夫」と報じた英サン紙に対する名誉毀損裁判では勝訴していることをあげ、デップの弁護士はハードを「悪」であると印象付ける作戦で証拠を無視させることに成功したと主張。また、SNSでのハードに対する誹謗(ひぼう)中傷なども陪審員の審議に大きな影響を与えた可能性を指摘した。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)