是枝裕和監督(60)が手掛けた初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」(24日公開)に主演し、第75回カンヌ映画祭(フランス)で韓国人俳優初の男優賞を受賞した、ソン・ガンホ(55)が緊急来日し、26日に日本国内で開催される舞台あいさつに登壇することが20日、決定した。来日は主演映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)が20年の米アカデミー賞で外国語映画として史上初の作品賞に加え監督賞、脚本賞、国際長編映画賞を受賞した後に来日して以来、約2年ぶり。

ソン・ガンホのほか、共演のカン・ドンウォン(41)、IUとして絶大な人気を誇るシンガー・ソングライターのイ・ジウン(29)、人気ドラマ「梨泰院クラス」にも出演したイ・ジュヨン(30)も来日。カン・ドンウォンの来日は、伊坂幸太郎氏の小説を韓国で実写映画化した19年の映画「ゴールデンスランバー」以来、約3年ぶり。イ・ジウンとイ・ジュヨンは、映画のプロモーションとしての来日は今回が初となる。4人は、韓国でのプロモーション中も日本訪問をほのめかすなど、来日を心待ちにしていた。

「ベイビー・ブローカー」は、古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、子供を育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていくことができる“赤ちゃんポスト”がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)が、ある土砂降りの雨の晩、若い女ソヨン(イ・ジウン)が赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、赤ん坊を横流しするベイビー・ブローカーだった。しかし翌日、思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙しようと、ずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていく。赤ちゃんポストで出会った人々の、予期せぬ特別な旅が始まる物語。

是枝監督は「ベイビー・ブローカー」を韓国の映画社ジップと製作。配給は同国映画界の最大手CJエンターテインメントと、韓国映画界の枠組みでの映画製作に取り組んだ。韓国では、4日に1600スクリーンという大規模な公開規模での初日を迎えると、同国のランキングで首位スタートを切った。18日には韓国国内の観客動員数が100万人を突破している。