ロシアの侵攻を受けて5カ月が経過したウクライナ・ゼレンスキー大統領のオレナ夫人(44)が、ファッション誌ヴォーグのグラビアに登場し、戦場で撮影した写真などが公開された。

同誌は26日、「勇敢な女性の肖像 ウクライナのファーストレディー、オレナ・ゼレンスカ」の見出しで、ウクライナ大統領府の階段に座ってカメラを見つめるオレナ夫人を起用した10月号の表紙をSNSに投稿した。

他にもカメラ目線でゼレンスキー大統領と夫人が体を寄せ合うツーショットや、首都キーウのマリア宮殿と思われる場所で手をつなぐ夫妻、夫人が単独で戦場を背景にポーズを取る写真なども公開された。

オレナ夫人はロシアによる侵攻後もウクライナ国内にとどまり続け、SNSの発信などを通じて支援を求めるなど、夫ゼレンスキー大統領を献身的に支えている。先週も米国を電撃訪問し、ホワイトハウスでバイデン大統領夫妻と面会したほか、米議会で「ウクライナの子供たちを助けて欲しい」と演説していた。

同誌のインタビューでもゼレンスキー大統領は夫人について、「自分が思っていたよりも強い女性。ウクライナの女性にとって力強い役割を果たしている」と述べ、国民の精神的なよりどころとなっていると語っている。

投稿には多くの「いいね!」と共に応援や称賛の声が相次いでいる一方、ファッション誌のグラビアに実際の戦場で撮影された写真が登場していることについては「一線を越えた」「戦火でのんきに写真撮影」との批判も寄せられている。

ウクライナを支援する人々からは、「より多く注目されることで世間の関心を得ることができる」との声が出ている。一方、ロシア軍の攻撃で破壊されたと思われるがれきを前に立つ兵士をバックにブルーのコートに身を包む夫人の写真には、「血の赤が夏冬の(ファッション)カラー」「自分がウクライナ兵で、これを見たら激怒すると思う」「戦場でポーズを取るのは間違っている」など否定的な書き込みもみられるなど、さまざまな意見が寄せられている。

インタビューでは、ゼレンスキー大統領夫妻の愛の物語も語られていることから、「ヴォーグは戦争をロマンス化している」との指摘も出ている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)