24日公開の映画「三茶のポルターガイスト」に出演する俳優いしだ壱成(48)をインタビューした。先月に取材した妹の女優すみれ(32)に次いで、俳優石田純一(69)ファミリーのインタビュー取材となった。

壱成と初めて会ったのは、31年前だ。92年9月にフジテレビのドラマ「悲しいほどお天気」が放送。当時はテレビ界に予算が豊富な時代で、放送開始前の8月末に、札幌のロケ取材がセッティングされた。そこで、父の純一の友人でもあるプロデューサーから突然、披露されたのが、息子の壱成だった。ヒロインの奥山佳恵(49)の弟役だった。

その後、壱成はスレンダーで中性的な魅力を持つ“フェミ男”として人気を集めた。じっくりと話を聞いたのは、95年にTBS「未成年」で連続ドラマに初主演した時で、いしだはまだ20歳。今回のインタビューは実に28年ぶりで、アラフィフになったいしだは、やたらフランクだった。顔立ちこそきれいなままだが、おなかに肉が付き、髪の毛は薄くなっていた。

1年前まで、10年近く石川県に住んでいた。3番目の妻と離婚して、東京に戻ってからのことを「東京が変わっていてびっくりした。渋谷なんか、全然別の街になっていた。若い人だらけで…」と振り返る姿に、長い年月を感じた。そしてその分、自分も年をとったと思いさせされた。

この1年間は植毛や双極性障害(そううつ病)だったことなど、役者の本道とは違うことで話題になることが多かった。1年間の助走期間をへて、いしだの役者業も速度を増してきた。

映画、舞台の話を聞くうちに、夢は海外へと広がった。18歳まで純一の最初の妻である母に育てられ、タイで暮らしたこともあったという。「アジアに進出してみたい。93年に出演したフジテレビ『ひとつ屋根の下』はアジア圏でも放送されていて、よく知られているんです」と戦略を明かしてくれた。

驚いたのは、俳優以外のビジネスも手がけたいということ。父・純一と合コンをしていると報じられたのも、実は「食事会で、ビジネスの話をしていました」という。血は争えない。父の石田もトレンディードラマの代表作フジ「抱きしめたい!」、TBS「想い出にかわるまで」、「長男の嫁」で、大多亮、遠藤環、貴島誠一郎各氏といったヒットメーカーの信頼を得ていながらも、タオルやケータイ電話などのビジネスに乗り出して驚いたことがある。ビジネスにまで話が広がったのは、役者としての活動に再び自信を持てたからだろう。

別れた3番目の妻との娘は、まだ4歳。壱成にとっては妹になる、69歳の純一の一番下の娘と同い年だ。「あと15年は頑張らなくては」と言う壱成の言葉に、人生の重みを感じた。【小谷野俊哉】