女優宮澤エマ(34)が8日、東京・渋谷PARCO劇場で、9日初日の初主演舞台「ラビット・ホール」の初日前会見に登壇した。

事故で4歳の息子を亡くした、若い夫婦の傷ついた心が再生に至る道筋を、家族間の日常的な会話を通して繊細に描く。デヴィッド・リンゼイ=アベアーの戯曲は2007年にピュリツァー賞を受賞している。

初日を前に演出の藤田俊太郎氏(42)は「素晴らしいキャストの皆さん、素晴らしいスタッフと一緒に丁寧に稽古をしてきました。あとは素晴らしいお客さまを迎えるだけ。このいとおしくて、愛すべきカンパニーで世界ツアーをやりたい」と話した。宮澤が「本当? 初めて聞きました」と言うと、藤田氏は「と、思えるくらい誇らしい作品が出来ました」と笑った。

息子を亡くした若い夫婦の妻、ベッカを演じる宮澤は「この作品の話を最初にいただいた際に、2013年に初舞台で、ちょうど10年で、主演で舞台に立たせてもらえるんだなと思いました。本当に素晴らしい作品に巡り合えました。こんな条件の中で初主演をさせていただけることが、いかに幸せなことか感じています。最初から仲良くやれているカンパニー。この作品を皆さまにお届けできることに、ワクワクしかない。いろいろな人にとっての喜びが詰まった作品になると思う」と話した。

舞台初主演について、宮澤は「ずっと感じているんですけど、ずっと視界に入らないようにしています。座組みが小さい人数でやっているので、1人が真ん中で輝く作品じゃないと思っています。誰1人が欠けてもダメだし、座長と言う感じではない。話し合いながら、アドバイスをあげ合いながらの稽古期間だったので、主演というのは最後にあいさつするだけなんだなと思いました(笑い)。みんな平等で、素晴らしいプロフェッショナルの人と仕事してるんだなと感じています」と話した。

宮澤について、シルビア「すごいリーダーです」成河は「最初から覚悟、本気を持っている」と話した。

稽古期間中について、モイ矢沢は「毎日のように笑い転げてた」と振り返った。シルビアは「稽古の合間に、他の舞台だと台本を読んでるけど、このカンパニーはベラベラしゃべってて、カフェや居酒屋にいるみたい(笑い)」。山崎は「楽しそうだなと思って見てました」。阿部は「通し稽古の5分前まで、しゃべっていて、すごいなと思いました」。宮澤は「2人が、一番大人ですね」と笑った。

幼い子供の死、そこからの再生という重いテーマについて、宮澤は「粗筋を読むと、ものすごい悲劇のように思えるけど、悲劇的な事柄の後に一生懸命生きたいと思っている愛すべき人と、加害者になってしまった人の物語。一生懸命生きようとするから、衝突があったりする。この作品の持つパワーは、ひと言では言い表せない感情を持って劇場を後にすると思う。唯一無二のこの作品にしかない体験をして帰ってもらえると思う」。

この作品を熱望した藤田氏は「作品の魅力というか、戯曲がとても素晴らしい、魅力的。戯曲の構造だけじゃなく、悲劇からの再生、言葉の向こう側の魅力に引かれました。演劇の形態とか、リアリズム。このカンパニーで演劇の美しさについて、ありとあらゆる形でディスカッション出来たのが美しいことだと思っています」。宮澤は「作品自体もチャレンジングですけど、今の時代にこの作品をやる意義が、すごくある作品。ある意味、歴史的な作品、チャレンジという意味で」と話した。