俳優本郷奏多(32)が主演するフジテレビ系深夜ドラマ「クライムファミリー」(2日深夜0時35分)が最終回を迎える。同作は昨年10月からスタートした「火曜ACTION!」枠の全4話で構成された深夜ドラマで、同局が誇るヤングクリエーターたちが月替わりで担当。1日までのTVer再生数は全エピソード累計100万回を突破し、同局深夜番組としても異例の数字をマーク。同枠で最高値をたたき出している。プロデューサーを務めた制作局ドラマ・映画制作センターの江花松樹氏(29)がこのほど、日刊スポーツの取材に応じ、全3回の第1回は最終回の見どころについて語った。【高橋洋平】

   ◇   ◇   ◇   

本郷演じる松田郷(まつだ・ごう)が金をだまし取るため、佐々木一家に潜入するところからストーリーは始まる。だが、その一家は詐欺以上の悪事に手を染める犯罪一家だと判明。お互いの本当の顔を知らず“ウソの家族”を演じ続ける犯罪一家を、悪人である郷が、皮肉にも“正しい家族”へ再生していってしまうブラックコメディードラマだ。江花氏は最終回の見通しについて語った。

「最初この企画を考えた時、詐欺師がその家族を不幸にしようと思って入ってきたのに、結果的に敵を幸せにして帰っちゃうみたいなのが、すごく皮肉でいいなと思ったんですよ。第4話はすごくそれが出ている回だなと思うんです。ラストは、やっぱりすごく印象的です。現場で見てて、すごくいいシーンでした」

最終回では郷が渾身(こんしん)のセリフを吐いている。

「本郷さんが『全員不幸になっちまえ!』って言ってるんですけど、あれを言っている一連のシーンはすごくよかった。やっぱりここに向けて、郷は佐々木家と関わってきたなっていう感じがすごいするし、本郷さんのお芝居も非常に素晴らしいんです」

郷が佐々木家の父親・歩(大倉孝二)と相対するのが見どころとなる。

「1話は娘(長女・夢=吉田美月喜)、2話は息子(長男・勝=荒木飛羽)、3話は母親(陽=真飛聖)がやってきて、最終回で父親の大倉孝二さんの行動と、郷がどう変化するのか。要はだましに行こうと思って入っていった悪人がああいうふうに、意図せず巻き込まれることによって、どういう変化をすることになるのか。やっぱり第4話に、一番伝えたいことの全てが凝縮されていると思う。そういうことを言いたかったんだな、というのは、ある程度キャッチできるラストにはなっていると思います」

作中では、歩のキャラクター設定が際立っていた。娘の夢と息子の勝が何かを話すたびに1万円を渡していく。

「第1話で娘の夢ちゃんに対して、パパ活のお父さんが襲ってきているのに、大倉さんだけはバッと書斎に行って、札束を確認するみたいな。あの時点での佐々木家の象徴的なシーンだと思うんですけど、お父さんがこんなんだからこの家族はダメなんだ、と。それは(娘と息子に)お金をあげていることもそうだし、父親がなんでお金を持ってて、どう思っているのかっていうのは、4話でちゃんと大倉さんの口から言ってます。前回(第3話)、お母さん役の真飛さんが結構ちゃんと自分の気持ちをフォローしていたと思うんですけど、あんな感じで郷によってみんなの心が開いていきます」(つづく)

 

◆江花松樹(えばな・まつき)1994年(平6)1月23日、東京都生まれ。大学時代には30カ国以上への渡航や海外大学への留学などの経験を経て、17年にフジテレビ入社。編成部に配属され、22年から編成制作局のドラマ・映画制作センターに異動。昨年10月期「月9」の「PICU 小児集中治療室」ではアシスタントプロデューサーを務め、「クライムファミリー」が初プロデュース作品。現在、アニメ制作センターアニメ制作部も兼任。