ジャニーズ事務所の新社長に東山紀之(56)が就任し、今日7日に都内で行われるジャニー喜多川前社長(19年に死去)の性加害問題をめぐる会見に出席することが6日、分かった。

「外部専門家による再発防止特別チーム」からの提言を受け、藤島ジュリー景子現社長の後任として、加害の事実の認定や、被害者救済に向けた具体策、新体制の詳細などを自らの口で説明するとみられる。

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ジャニーズ所属タレント最年長の東山が、渦中の事務所でジュリー氏の後任という重責を務めることとなった。関係者によると1979年(昭54)にジャニーズ入りした東山は44年間所属した“長男”として責任を果たすべく、社長就任を決意したという。出演予定の主演舞台やレギュラー番組もあり、社長とタレントの二足のわらじを履くこととなるが、周囲にはタレント引退も辞さないとする覚悟も伝えているという。

特別チームは8月29日に会見を開き、ジャニー氏の長年にわたる性加害を事実と認定。「被害者救済措置制度」の構築や、ジュリー氏の退任を提言した。座長の林眞琴前検事総長は問題の背景として1962年(昭37)の創業からジャニー氏、ジャニー氏の姉の藤島メリー泰子元名誉会長(21年死去)、めいのジュリー氏と続く「同族経営」の弊害を指摘。「ジュリー氏が経営トップのままでは、今後社員や職員の意識を根底から変えて再出発することは極めて困難と考える」などと述べていた。

東山の社長就任で60年以上続いた「同族経営」に終止符は打たれるが、一方でジャニーズ事務所の100%株主であるジュリー氏は引き続き代表取締役として残留する、という報道もある。数百億円とも言われる株の売却は現時点では現実的ではなく、ジュリー氏は社長退任後も叔父の性加害問題に向き合い、賠償金など金銭面も含めた被害者救済の責任を果たすとみられるが、「同族経営」の実態の有無も含め会見では具体的な説明が求められる。

東山は5月21日、MCを務めるテレビ朝日系「サンデーLIVE!!」で所属タレントとして初めてジャニー氏の性加害問題に言及し「ジャニーズという名前を存続させるべきなのかを含め、外部の方とともに全てを新しくし、透明性をもってこの問題に取り組んでいかなければならない」などと厳しい表情で口火を切った。ストイックな性格で知られ、憧れる後輩も多い。

今年1月にはジャニーズJr.が多数出演する舞台「ジャニーズ・ワールド ネクストステージ」で演出を担当。若手と交流する機会も増えている。ともに同作の演出を手がけた「ジャニーズアイランド」の井ノ原快彦(47)も副社長などの幹部入りが有力視される。

ジャニーズ事務所の一連の性加害問題を巡り記者会見を行うのは初めて。事務所としての加害の事実の認定や、被害者救済の具体策、東山ら新体制の詳細などが焦点となる。一部広告代理店関係者によると、会見には東山と担当弁護士らに加え、ジュリー氏が出席する可能性もあるという。新体制のジャニーズ事務所が何を語るのか、耳目を集めている。

<性加害問題の経緯>

▼1999年 週刊文春がジャニー氏によるジャニーズ事務所所属タレントの少年へのわいせつ行為を報じる記事を掲載

▼2002年 記事で名誉を傷つけられたとして同事務所と喜多川氏が起こした訴訟で、東京地裁が文春側に計880万円の賠償を命じる

▼03年 東京高裁が賠償額を120万円に変更。記事の真実性を認める

▼04年 最高裁が同事務所側の上告を退ける。東京高裁判決が確定

▼19年 ジャニー氏が死去。87歳。ジュリー氏が社長に就任。

▼今年3月7日 BBCがジャニー氏の性加害疑惑について報道

▼4月12日 カウアン・オカモトさんが被害者として実名顔出しで会見

▼5月14日 ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長が謝罪する動画と文書を公開

▼同16日 立憲民主党が国会内でカウアン・オカモトさんと橋田康さんにヒアリング

▼同21日 ジャニーズ最年長タレントの東山が番組で「ジャニーズという名前を存続させるべきなのかを含め、外部の方とともに全てを新しくし、透明性をもってこの問題に取り組んでいかなければならない」などと発言し謝罪

▼同26日 ジャニーズ事務所が対応策を発表。WBC侍ジャパンのヘッドコーチ白井一幸氏ら3人の「社外取締役の就任」、「心のケア相談窓口の開設」、「外部専門家による再発防止特別チームの設置」の3点を報告

▼6月26日 元ジャニーズJr.の二本樹顕理氏と中村一也氏が発起人となり「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が発足

▼8月4日 外部専門家による再発防止特別チームが調査結果を踏まえた提言を8月末頃に行う見込みと発表。ジャニーズ事務所も「本特別チームの提言を受けて、できるだけ早く、今後の弊社の取り組みなどについて記者会見にてご説明させていただく予定」とした

▼同日 国連人権理事会作業部会が問題を調査し会見。政府主体の救済を求める。来年6月、同理事会に最終報告書を提出する予定

▼同29日 ジャニーズ事務所が設置した「外部専門家による再発防止特別チーム」(座長・林眞琴前検事総長)が都内で会見。性加害の事実が認められたと報告し、藤島ジュリー景子社長の辞任などを要求・提言。