シリーズ33作目は季節に合わせて妖怪が題材だ。「映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション」(渡辺正樹監督)が31日に公開される。

老若男女に愛されるシリーズ、と作品資料にあるが、確かに「老」の年齢になっても存分に笑わされ、最後はホロッとさせられた。

夏休み。しんのすけ一家が、父ひろしの秋田の実家を訪れる。翌朝、一家が泊まった部屋には「おばけーしょん村」のチラシが。「チョコビ」食べ放題に興奮するしんのすけに引きずられ、山奥の会場に出掛けた一家は「妖怪の国」に迷い込んでしまう。

人間だとバレたひろしとみさえの夫婦は「おしりだま」を抜かれて妖怪の姿に。子の刻(23時~翌1時)までにおしりだまを取り戻さないと元に戻れないばかりか、人間としての記憶も失ってしまうという。しんのすけはおしりだまを取り返すために一家に親近感を抱く九尾のキツネの妖怪やこ、タヌキの化身まめ太らに助けられながら、妖怪の国の奥深くに踏み込んでいくが…。

一家の冒険物語には妖怪の国の権力闘争が絡み、それが人間界を脅かす地球規模の問題に至る。映画版シリーズならではの展開がしっかり踏襲されている。

妖怪やこの声は伊藤沙莉。かわいらしい風体から、妖力満々の九尾のキツネの正体を現す終盤へとしっかり入り込んで作品の軸になっている。

随所に織り込まれる「野球」のエピソードが効いていて、昭和の草野球の風景を確かに思い出す。やこが大切に持っていた薄汚れた野球ボールがひろしの父、つまりしんのすけの祖父につながる因縁のくだりにグッとくる。子や孫にも見せたくなる。長寿シリーズのゆえんを改めて実感した。【相原斎】