ジャニーズ事務所が19日、公式サイトを更新し、創業者ジャニー喜多川氏(19年死去)の性加害問題を受け、社名変更を示唆した。この日、取締役会を開き会社運営の大きな方向性に関わる検討を行い、方針を確認したと報告した。

サイトでは「今後の会社運営に関するご報告」と題し、新社長東山紀之(56)の署名で「皆さまのご意見、ご批判を真摯に受け止め、今後の弊社の在り方について検討を重ねて参りました」とした。「本日、弊社取締役会を開催し、藤島が保有する株式の取り扱い、被害補償の具体的方策、社名変更、所属タレント及び社員の将来など、今後の会社運営に関わる大きな方向性についてあらゆる角度から議論を行い、向かうべき方針を確認いたしました」と記した。

「今後、法務や税務その他の論点を精査する所存です。そして改めて、10月2日には、その進捗内容を具体的にご報告させていただきたく存じます」と伝えた。「被害者の方々、取引先、ファンの皆さまにおかれましては、ご不安、ご心配、ご迷惑をおかけしております。どうか今しばらくお待ち下さいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」とつづった。

今月7日のジャニーズ事務所の会見では、新社長に就任した東山が「ジャニーズというのはもちろん創業者の名前であり、初代のグループの名前でもありますが、タレントが培ってきたエネルギーやプライドでもあると思います」とし、「名前を変えて再出発したほうがいいのかもしれません。ただ、僕らはファンの方に支えられている。イメージを払拭できるようにみんなが一丸となって頑張っていくべきだと、今は判断をしています」などと、社名を存続させる意向を明かしていた。

ただ、会見では社名存続について批判的な質問が相次いだ。終盤には、社名変更の検討の余地があるか問われ、東山は「それもある」とも答えていた。会見後も、SNS上や情報番組などに出演する識者らからも社名存続について批判的な声があがっていた。一方で11日に取材に応じ「どんなことがあっても、私の意見としては名前は変えずにおやりになった方がいいと思います」と話した美川憲一(77)ら、一部では理解を示す意見もあった。

7日の会見には、藤島ジュリー景子前社長(57)と東山らが出席。ジャニー氏の性加害を認め、被害者に謝罪した。ただ、具体的な被害者救済措置については今後発表するとしていた。同日以降、ジャニーズ事務所所属タレントを広告などに起用する企業が相次いで契約を見送りする方針などを発表していた。

今月15日には、ジャニーズ事務所の公式サイトで性加害問題をめぐって設置された被害者救済委員会による補償受付窓口がオープンしたことを発表。申し込みウェブサイトのURLなどを掲載し「被害について金銭的な補償を求める方の申告内容を検討し、補償金額の算定をさせていただきます」と説明していた。

ジャニーズ事務所は1962年(昭37)にジャニー氏によって創業された。長年にわたってジャニー氏と姉の藤島メリー泰子氏(21年死去)らが手腕を振るい、多数の人気グループを世に送り出してきた。創業から61年間続き、広く世の中に浸透し認知された歴史ある「屋号」。変更となれば、社内外に及ぼす影響は大きい。

◆ジャニーズ事務所 1962年(昭37)6月、ジャニー喜多川氏が個人事業として創業した芸能事務所。60年頃、野球チームを作ってコーチをするなどして近所の少年たちと交流していたが、中学生4人をメンバーとして、初代「ジャニーズ」を結成。池袋にあった芸能学校「新芸能学院」の内に「ジャニーズ事務所」を個人開業した。姉メリー喜多川氏と75年1月に株式会社として法人化。以降、30組を超えるアイドルグループをデビューさせた。2019年7月にジャニー氏が87歳で死去し、21年8月にはメリー氏も93歳で死去し、それ以降、メリー氏の娘の藤島ジュリー景子氏がトップを務める体制へと移行。ジャニー氏の性加害問題を受けて、23年9月5日、東山紀之が新社長に就任した。