井ノ原快彦(47)の会見での振る舞いを称賛する報道が相次ぐ中、SNS上では違和感を示す声も少なからずあがっている。

井ノ原はジャニーズ事務所が2日に開いた会見の冒頭、SNS等での性加害被害者への誹謗(ひぼう)中傷をやめるよう訴えたほか、「1社1問」のルールの中で質問権をめぐって怒りの声をあげる記者たちをいさめ、前回の会見に続いて存在感を発揮。特に、紛糾する報道陣に向けて「この会見は全国に伝わっておりまして、子供たちも見ている。(性加害)被害者の皆さんには、自分たちのことでこんなにもめているんだと思ってほしくない。ルールを守る大人たちの姿を見せたい。どうか、どうかお願いします」と呼びかけた際には、会場から拍手がわき起こり、複数メディアに好意的に報じられた。

しかし、会見に出席したジャーナリストの白坂和哉氏は、「まさか井ノ原氏の口から『ルールを守っていく大人たちの姿をこの会見では見せていきたい』との言葉が出るとは思わなかった。ジャニーズ記者会見で質問した一人として、この言葉には心底仰天した!」と言及。「なぜなら、ルールを爆破りして少年たちへの性加害の限りを尽くしてきたのが、他ならぬジャニー喜多川氏だからだ。井ノ原氏はその後継企業の幹部になる立場。どの口がものを言ってるのだろうか?この言葉は『偽善』そのものだ」と指摘した。

ジャーナリストの佐藤章氏も「『もめている姿を子どもに見せたくない』と井ノ原氏は言うが、その子どもたちを文字通り『食い物』にしてきたのは誰なんだ? どこの事務所なんだ? 前代未聞の大犯罪を目の前にして混乱して騒がない記者の方がよっぽどおかしい! 井ノ原氏は勘違いして逆立ちしているね」と、井ノ原に拍手を送った報道陣に疑問を呈した。

先に記した井ノ原の発言を「トーンポリシング」(論点ずらし)だと指摘する声もある。公認心理師の伊藤絵美さんは「井ノ原さん、典型的なトーンポリシングをかましたのね。研修や授業でそのまんま動画を使いたいぐらい典型的。子どもを守るために興奮する大人の姿を見せることの何が悪い?」と疑問を投げかけ、ジャーナリストの津田大介氏は「今回井ノ原さんが清々しいまでのトンポリかました件、あまり意外ではなかったというか、前回の記者会見でジャニーズからメディアへの明確な圧力があったこと(公取から指摘されてもいる)をメディア側の勝手な忖度や業界の空気の問題に話を自然にすり替えてたの見て、危うい人だな~と思ってました」と私見を述べた。

政権の巧妙な論点ずらしをご飯の食べ方にたとえ、「ご飯論法」の言葉が世に出るきっかけをつくった法大キャリアデザイン学部の上西充子(みつこ)教授は、「一問一答(正確に言えば、1人一問かつ、更問い《重ね聞きなし)というのが、どれだけ答える側にとって有利で、質問する側にとって不利であるか。そのことに触れず、井ノ原氏の言葉を評価するニュースは、大事なポイントに触れるのを敢えて避けているのか」と投稿。タレントで元参院議員の水道橋博士は、井ノ原がジャニーズ事務所側の設けた「1社1問」のルールを遵守するよう訴えたことに関し、「『社会のルールを守っていなかった』側の責任追及する公式の場で加害者側(仮・長くなるので)に『ルールを守ってください』と言われて、同調し拍手する記者たちへの違和感」とつづった。