宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の25歳宙組団員が昨年9月に急死した問題で、団員の上級生俳優や親会社阪急阪神ホールディングスの角和夫会長らが近く遺族に対し謝罪する方針を固めたことが26日、関係者への取材で分かった。ハラスメントの事実認定で主張が異なっていたが、阪急側が譲歩した形だ。今後、合意文書の締結に向けて詰めの協議に入るとみられる。

歌劇団が昨年11月に弁護士による調査報告書を公表し、ハラスメントは確認できなかったとしたため遺族が反発。歌劇団は12月に公式サイトから報告書を削除し、今年1月にはハラスメントがあったこと自体は認めたが、遺族側が公表した15項目のハラスメントのうちどの部分を認めるかについては見解を明らかにしていなかった。

2月27日には、遺族側代理人が都内で会見。15項目のうち劇団側は約半数を認めたとしたが、合意書記載の謝罪文の内容、公表方法をめぐり、合意に至らず。遺族側は席上で、劇団が「パワハラの行為者の言い分を代弁している」と指摘する場面もあった。その後、今月15日に5回目の交渉が行われ、阪急側が譲歩する姿勢を見せたもようだ。

宙組をめぐっては、団員が急死した後、本拠地作が開幕2日で中止になり、その後、東京宝塚劇場までの全日程が中止。5月17日に兵庫・宝塚大劇場で開幕予定だった「宝塚110年の恋のうた」「FINAL FANTASY XVI」の上演も取りやめとなっている。