宝塚歌劇団の25歳宙組団員が昨年9月に急死した問題で、親会社阪急阪神ホールディングス(HD)は28日、上級生らによる団員へのハラスメントを認め、遺族側と合意書を締結し謝罪したと発表した。

角和夫HD会長らが同日、遺族に謝罪し、宙組上級生複数も謝罪文を遺族に提出した。遺族側が主張したハラスメントをほぼ認めた形。遺族代理人の川人博弁護士も同日、都内で会見し「明確にパワハラを認め、遺族に謝罪した意義は大きい」と評価した。

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◆宝塚宙組いじめ問題の主な経緯

▼23年2月 宙組の団員同士での「いじめ」について週刊文春が報道

▼同 宙組幹部4人が団員を呼び出し人格否定のような言葉を浴びせる。劇団は、公式ホームページに「いじめ」は「全くの事実無根」と発表

▼9月27日 下級生の衣装取り扱いをめぐり衣装部から注意があり、落ち度のなかった急死団員に、上級生らが「責任がある」と叱責

▼同30日 団員が自宅マンション敷地内で急死。兵庫県警は自殺の可能性が高いとみて捜査

▼10月1日 宝塚大劇場で上演中だった宙組公演について急きょ中止。以後、再開されることなく、続く東京宝塚劇場も全日程中止

▼同7日 歌劇団が弁護士らの調査チーム設置を発表

▼11月10日 団員の遺族代理人が記者会見し歌劇団側に謝罪と補償を要求

▼同14日 歌劇団側も記者会見し、調査報告書と改革案を発表

▼同22日 西宮労働基準監督署が歌劇団に立ち入り調査

▼12月18日 歌劇団がパワハラを否定する調査報告書を公式サイトから削除

▼24年2月27日 遺族代理人が記者会見し、歌劇団側がパワハラの約半数を認めたが合意には至らずと主張

▼3月5日 5月開幕の宙組公演について、上演見合わせを発表

▼同28日 歌劇団の親会社阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が遺族に直接謝罪、双方が合意を発表