「車椅子インフルエンサー」として活動する中嶋涼子氏が29日、X(旧ツイッター)を更新。全国のショッピングセンターで展開する国内最大級のシネコン「イオンシネマ」を利用した際の従業員の対応を明かして話題となった件について、一部の誤解を訂正した。

中嶋氏は「先日『イオンシネマ シアタス調布』のグランシアターでの出来事について書いたSNS投稿に関連し、様々な意見や誹謗中傷などが飛び交う中で、誤って伝わってしまっている部分もあるのでいくつか訂正させていただきます」とし、あらためて経緯などを説明した長文を掲載した。

中嶋氏は15日、これまで何度か利用したことのあるイオンシネマで映画鑑賞。その際、従業員から「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえると、お互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか」と言われたことをXに投稿し、議論が巻き起こっていた。

今回利用したのは「イオンシネマ シアタス調布」内に導入された「グランシアター」と呼ばれる最上級劇場。車椅子席が設置されていないほか、座席までに階段があるため、車椅子ユーザーにはハードルが高くなっているが、見たかった作品が同シアターでしか上映されていなかったという。ただ、同シアターについては過去に3度利用したことがあり、初めて利用する際は「(鑑賞は)無理かもしれない」と心配しつつも、スタッフから「何かお手伝いしましょうか?」との声掛けがあり、座席まで階段を運んでもらうことを願い出て快諾された経験があったことから、その後も利用していたと説明した。

問題となった自身のX投稿では「今後はこの劇場以外で見て」と従業員から言われた言葉を記したが、この「劇場」の意味について誤解を招き、「『イオンシネマ シアタス調布』と捉えている方がおられますが、『グランシアター以外の劇場(スクリーン)』という意味なので、映画館自体に来ないでくださいという対応でなかった事をご理解ください」と訂正した。

また、従業員の対応について投稿した理由については「『今回が初めてではなく、これまでも3回ほどサポートしていただき、鑑賞したことがあるのですが』とお伝えすると、『スタッフに確認したところそのような経験はないとのことです』と一方的に事実を否定されてしまったのが悲しかったこと」など複数挙げるとともに、「一部、誤解されて伝わってしまっており、伝える際の自分の言葉が足りなかったことについて、今後、もっと言葉を考えて表現していこうと反省いたしました」とした。

中嶋氏の投稿をめぐっては、「イオンシネマ」公式X(旧ツイッター)が16日、「弊社従業員による不適切な対応に関するお詫び」と題したメッセージを掲出。運営会社「イオンエンターテイメント株式会社」の署名のもと、「この度は弊社従業員によるお客さまへの不適切な対応につきまして、お客さまおよび関係者の皆さまにご不快の念をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪していた。一方で、SNS上では中嶋氏に対するバッシングも起きていた。

なお、イオンシネマ側とは後日、話し合いの場が設けられ、劇場支配人らに面会し、意見交換したという。イオンシネマ側から示された改善点や今後のバリアフリー対策などについても記し、中嶋氏は「今まで映画館のバリアフリーについて訴える場所がなかったので、企業と直接話し合うことができて本当に嬉しかったです」。さらに「今の段階では、グランシアターで一人で映画鑑賞することは難しいようですが、サポートしてくれる友人と一緒にグランシアターで鑑賞する、もしくは車椅子席のあるスクリーンで鑑賞するという方向で、これからも『イオンシネマ シアタス調布』に通わせて頂きたいとお伝えしました」といい、「みんなと同じように、車椅子でも『見たい時に見たい映画館で見たい映画を鑑賞できる』場所ができたら嬉しいです」とつづった。