吉本新喜劇の辻本茂雄(60)が25日から「辻本茂雄GW還暦特別公演 笑って感動して元気になったらど~や!」(5月6日まで、よしもと祗園花月)を開催する。また、8年ぶりとなる全国ツアー「辻本茂雄還暦特別公演記念ツアー」を、7月19日の神戸国際会館を皮切りに全国15カ所で行う。

昨年10月に還暦を迎えた辻本が行う恒例のゴールデンウイーク公演。座長時代から、辻本の公演は吉本関係者から「チケットがすぐ売りきれる」と聞かされていたが、座長引退後も「今も変わらないですね。ファン人気は高いです」。辻本が常々話す「緊張と緩和」が、ファンにも伝わっているのだろう。

辻本は人気キャラ茂造に扮(ふん)し、第1部「茂造の絆」は笑いあり、涙ありの感動の芝居を、第2部「茂造新喜劇」ではひたすら笑いを追求する。観客の「トイレにも行けない」という要望をくんで、合間に10分間の休憩を挟んで2部制の形にした。

以前の公演では新喜劇が先で、芝居を後にもってきていたが、今回は順番を入れ替える。涙の後に大笑いという展開にも「難しいかもしれませんけど、台本もできているし、おもしろい新喜劇をお見せできると思う」と自信を見せた。

一方、全国ツアーでは「笑って笑って元気になっていただこうと思っています」と意気込んだ。

辻本は競輪選手を目指すもケガなどにより断念。NSC(吉本総合芸能学院)に入り、お笑いコンビ三角公園USAを結成したが解散と苦労した。89年に新喜劇入団後も、すぐには芽が出なかったが、間寛平に見いだされ頭角を現した。99年に座長就任。04年には、功績が評価され上方お笑い大賞の大賞を受賞した。19年に座長を退き、現在はベテラン座員として新喜劇を支える。

そんな辻本の目に今の新喜劇はどう映っているのか。現在、座長の立場にあるすっちーと酒井藍を「個々の力で頑張っているの(は)すっちー君、昔の芝居を大切にしながらやっているのが藍ちゃんかな」と評価。自身が座長を退いた後に、新たに座長に就任したアキと吉田裕については「まだ定まってないのでなんとも言えない」とした上で、「みんな今の新喜劇を盛り上げようと頑張っている」と目を細めた。

なかでも、酒井については「ゲストの使い方がうまい。(元座長の)僕と内場(勝則)さんが出たら使いにくい、というのも他の座長はあると思うんですけど、藍ちゃんは主役で使ってきたりする。うまいこと使うなって感じたことはありますね。やりがいも感じるし、楽しい」

新喜劇では22年に寛平が新喜劇のGMに就任し、若手の発掘などさまざまな改革を実施してきた。100人以上が所属する新喜劇において、出番があるのは30~40人。「チャンスをもらってなかった座員がおった。そこに日の目を与えてくれたのは大切だった。チャンスをつかんだ者もいる。チャンスを与えてくれた寛平兄さんはありがたい」と功績を感謝した。

寛平自ら新喜劇に出演した際、大暴れして収拾がつかなくなったところを辻本や内場がツッコんで、さらなる笑いを呼ぶという場面を何回も見てきた。

辻本は「昔からコンビのようにやっていたので、暴走したら僕が止めます」と笑いながら、「でも、あんな天才いないですよ。ひと言のニュアンスで大爆笑を取れる。『なんで?』って言葉だけで爆笑を取れる。かといって、兄さんの力ばかりに頼ってもアカン。これからを支えていく若手座員に頑張っていただきたい」。

座長勇退から6年。存在感はそのままも、一歩引いた立場で新喜劇のさらなる発展を願っている。【阪口孝志】