東京国際映画祭が開幕した。

オープニング作品「てっぺんの向こうにあなたがいる」(阪本順治監督、31日公開)主演の吉永小百合(80)が、2人1役を演じた、のん(32)と阪本順治監督(65)を伴い、登壇した。吉永にとって、主演作がオープニング作品に選ばれたのは、92年の第5回の「天国の大罪」(舛田利雄監督)以来33年ぶりとなる。

吉永は、ピンクと紫の地の着物姿で登壇。「皆さま、こんにちは。私は(オープニング作品としては)33年ぶりに東京国際映画祭に参加させていただきます。オープニングになりました『てっぺんの向こうにあなたがいる』の、この3人で参りました。どうぞよろしくお願い致します」とあいさつ。その上で「前の時は(開催場所は)渋谷だったと思う。こんなに多くの方が応援してくださるんだと感慨深い」と、日比谷でのレッドカーペットの感想を口にした。

「てっぺんの向こうにあなたがいる」は、女性として初めて世界最高峰のエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんの15年の著書「人生、山あり“時々”谷あり」(潮出版社)が原案。吉永は田部井さんを元にした多部純子を演じた。阪本監督とは、12年「北のカナリアたち」以来13年ぶりに再タッグを組んだ。

吉永が着けた帯の柄は、表に田部井さんの写真、後ろにはエベレストの写真だった。吉永は「田部井淳子さんをモデルにした映画なので、帯は、表は田部井さんのお写真で、後ろはエベレストです」と笑みを浮かべた。

吉永は田部井さんと、12年にTBSラジオ「こんばんは 吉永小百合です」(日曜午後10時半)で対談。田部井さんは16年10月に腹膜がんのため77歳で亡くなったが、その3カ月前に高校生と富士山に登ったのが人生最後の登山となった。そうした事実を踏まえ、24年8月にクランクインした撮影中、79歳だった吉永が田部井さんにならい、耳にピアスの穴を開けたことも話題となった。のんは、純子の青年期を演じた。

吉永は「若い方も私たちの年齢の方も、皆さんが楽しんでいただける映画だと思うので、ぜひ映画館で楽しんで欲しいです」と呼びかけた。

◆「てっぺんの向こうにあなたがいる」 1975年(昭50)エベレスト山頂に1歩1歩、着実に向かう多部純子。日本時間16時30分、純子は女性として初の世界最高峰制覇を果たした。しかし、世界中を驚かせた輝かしい偉業は純子と友人、家族たちに光を与えるとともに深い影も落とした。晩年、純子は余命宣告を受けながらも「苦しい時こそ笑う」と家族や友人、周囲を、その朗らかな笑顔で巻き込みながら人生をかけて山へ挑み続けた。登山家として、母として、妻として、1人の人間として、純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは…。