TBSの新人アナウンサーが入社11日目に新番組をメーンで担当することが1日、分かった。11日スタートの「アナCAN」(金曜深夜1時25分、初回は同40分)で、研修期間中ながら3人を示す「アナ」がタイトルされた冠番組だ。異例の新人大抜てきとなるが、同局の堅いイメージからの一新とエースアナウンサー育成に乗り出した。

 TBSはこの日、東京。赤坂の同局で入社式を行い、42人の新入社員を迎えた。そのうちアナウンサーは加藤シルビアアナ(22)枡田絵理奈アナ(22)山本匠晃アナ(23)の3人。世間的にはまったくの無名ながら、11日にはメーンの番組を担当する。

 テレビ朝日が入社8日目の堂真理子アナ(26)を「ミュージックステーション」の司会に抜てきしたが、あくまでアシスタント。ライバルのフジテレビには高島彩アナ(29)が「アヤパン」、生野陽子アナ(23)が「ショーパン」と自分の名前を「冠」にした番組を担当したが、入社半年後のことだった。

 史上最速の新人抜てきについて編成局竹中優介氏は「TBSアナの認知度を高めるべく、フジテレビさんより早くに冠番組を持たせることにしました」と、あえてライバル局の名を挙げた。

 安住紳一郎アナ(34)小林麻耶アナ(28)といった人気アナウンサーを抱えながら、社内にはアイドル化を懸念する雰囲気も残っている。しかし、アナウンサーは各局の顔として、タレント以上の人気と知名度を誇っており、イメージアップを含めた将来のエース育成の狙いがある。

 番組内容は「王様のブランチ」のような情報バラエティーだが竹中氏は「裏コンセプトは、素人の彼らがプロのアナウンサーへと成長していく過程を追うドキュメンタリー」と説明する。ゲストタレントとのトークのほか、ロケ取材で渋谷の女子高生から和田アキ子、みのもんたら大物芸能人にまで突撃する。先輩アナからの技術指導、レッスンの様子も紹介する予定で「放送現場の超ガチンコ研修といった内容です」(竹中氏)という。

 加藤、枡田両アナは「3人で一緒にやる仕事が夢だったので、いきなりかなうことにびっくり」。山本アナは「予想外のスタートですが、前例のないチャンスをもらえたことを感謝して、頑張りたい」と意気込んでいる。