酒井法子(38)押尾学(31)両被告ら、相次いだ芸能人の違法薬物事件を受け9日、警視庁が芸能プロが加盟する業界主要3団体との意見交換会を開いた。芸能団体側は、加盟各社に薬物撲滅の取り組みを促すことや、キャンペーンへの積極的な参加を確認した。ただ、薬物使用の抑止効果が期待される抜き打ちの尿検査については「権限もなく実施は難しい」とした。

 警視庁で行われた意見交換会には、芸能界から芸能プロ103社が加盟する日本音楽事業者協会(音事協)や音楽制作者連盟、日本芸能実演家団体協議会の代表者、行政側は警視庁、関東信越厚生局麻薬取締部、東京税関の各担当者が出席した。捜査当局が芸能界関係者と薬物対策を協議するのは初めて。警視庁の藤山雄治組織犯罪対策部長は冒頭、芸能人の相次ぐ違法薬物事件について「(一般社会に比べ)非常に大きな衝撃を持って社会に受け止められるのは事実」と述べた。これに対し、音事協の五藤宏専務理事は「重大な事件と受け止めている」と神妙な面持ちで話した。

 警視庁は、団体から求めがあれば、資料提供や薬物経験者を講師にしたマネジャーへの研修会も行うと提案。団体側も警視庁の支援策に対し「検討していきたい」とした上、「芸能人の影響力、発信力の強さを生かした撲滅キャンペーンなどを自主的に進めていきたい」「国民運動の次元としてとらえていきたい」などの意見を出した。音事協はすでに「違法薬物対策本部」を設置し、加盟社に向けた指導マニュアルの作成や撲滅キャンペーンの準備を進めている。音楽制作者連盟は、広報誌で薬物問題を取り上げる方針も示した。

 薬物乱用防止に向けた組織的な動きとして期待も寄せられるが、各団体は抜き打ちの尿検査の実施までは求めないという。力士の大麻事件が相次いだ日本相撲協会は昨夏、抜き打ちの尿検査を実施して注目されたが、芸能団体は相撲協会と違って、芸能人を直接雇用しているわけではない。このため音事協関係者も「そこまでする権限もなく踏み込めない」として、直接契約を結ぶ加盟各社の判断に委ねるつもりだ。

 [2009年9月10日6時42分

 紙面から]ソーシャルブックマーク