09年8月3日に自宅で孤独死した女優大原麗子さん(享年62)のノンフィクション「大原麗子

 炎のように」(青志社)が19日に発売される。生前最後の誕生日の秘蔵カットとともに、美人女優のイメージと老いのはざまで悩んで整形手術を受けていたことなど、これまで知られなかった事実が明かされている。

 来月3日の三回忌を前に、大原さんの本が出版される。実弟の大原政光さんが監修し、芸能リポーター前田忠明氏が執筆した。美人女優と呼ばれた華やかな外見の裏で、波瀾(はらん)万丈の人生を送り、最後は孤独死したことで、これまでも数々のエピソードが明らかになった。

 だが、今作では、父に受けていたドメスティック・バイオレンス(DV)のほか、俳優渡瀬恒彦、歌手森進一との結婚、離婚の真相などの、知られざる秘話が収録されている。中でも、驚くのは、美容整形をして、しかも後悔していたことだ。そして、最後まで渡瀬へ思いを寄せ続けていたことだ。

 顔にメスを入れたのは、NHK大河ドラマ「徳川慶喜」に出演した直後で、大原さんが53歳のころだった。「もうすぐ2000年がくる。自分も心機一転、何か変わらなければ」と、一重だった左まぶたを整形した。

 ところが、失敗して顔が腫れて、映画「天城越え」第2弾を降板。その後、再手術で可能な限りに元に戻したが、これを機に仕事が減り、自信を喪失。晩年のギランバレー症候群につながっていったようだ。

 また、渡瀬を思い続けて、晩年も渡瀬の自宅へ頻繁に電話したり、友人に「車で渡瀬さんの家まで行ってほしい。前を通るだけでいいから」と頼んだりしていたという。美人女優のプライドと、1人の女性としての本音に苦しんでいたようだ。

 また、文字通り、生前最後の姿として残る秘蔵写真も掲載されている。08年11月に、恩人の石井ふく子プロデューサーに62歳の誕生日を祝ってもらったときの1枚だ。まだまだ女優を続ける意志を持ちながら逝った、大原さんの思いが詰まっている。