アニメソング界の歌姫、歌手May’n(メイン=22)が中国5都市を含む、6カ国・地域11都市を回る初の世界ツアーを行うことが24日、分かった。日本人女性歌手の単独ツアーとして、1度に米国、欧州、アジアを巡るのは異例のこと。08年にアニメ「マクロスF」のテーマ曲を歌ったことがきっかけで人気、知名度は海外にも広がっている。今後、海外戦略を進める大手芸能プロダクションのホリプロに所属しており、追い風に乗る形で本格的な世界進出を実現させる。

 世界ツアーは、「ROCK

 YOUR

 BEATS」と銘打ち、6月21日の米ロサンゼルス公演を皮切りに、中国、ドイツ、フランスなどを回り、9月23日の香港公演まで3大陸を駆け抜ける。並行して、日本国内でも22都市23公演のツアーを実施するが、「環境の適応能力は高いので心配ありません」とさらりと言ってのけた。

 歌唱力は実績が証明している。2年前には、ホリプロ所属の女性歌手として、山口百恵さん以来30年ぶりに東京・日本武道館の単独公演を成功させた。さらに2度のアジアツアーも経験しており、国内外で活躍を続けている。その才能にアニメ界も注目し、数多くの作品がアニメ番組などの主題歌に使われている。ロサンゼルスやパリで行われたイベントに招待されたこともある。海外ファンから日本語で手紙が来ることも頻繁にあるそうで、「アルゼンチン人からも届きました」。

 3歳の時、安室奈美恵にあこがれ歌手を志した。小学生時代にジャネット・ジャクソン、中学生時代はマドンナのライブを体感。実家近くのナゴヤドームでライブがあると、周辺を走りながら漏れてくる音を聞いて勉強したこともあった。「サザンオールスターズでした。音で雰囲気だけでも吸収しようと思って」。貪欲な姿勢が世界ツアーにつながった。

 ホリプロの本格的な海外進出に向けた切り込み隊長でもある。同社は02年、東証1部に上場したが、昨年12月上場廃止を宣言。MBO(マネジメント・バイアウト=経営陣による自社買収)が今年2月6日終了した。上場廃止の目的の1つが海外進出を迅速に進めることだった。海外戦略は株主の承諾などが必要で、即決できないマイナス面があった。今年1月アニメビジョン開発室を設置し、日本市場だけでなく、世界市場を見据えた海外戦略を展開させていくという。その第1弾アーティストにMay’nが指名された。

 ◆May’n(メイン=本名・中林芽依)1989年(平元)10月21日、愛知県生まれ。03年、ホリプロタレントスカウトキャラバンで決勝進出し、それがきっかけで芸能界へ。05年メジャーデビュー。163センチ。血液型O。