岡田准一(34)が熱演を見せてきたNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(日曜午後8時)が21日、最終回を迎える。収録では、秀吉の天下統一を支えた希代の軍師、黒田官兵衛に1年間向き合ってきた。物語はいよいよ大団円。演じながら感じたこと、考えたことを岡田に聞いた。

 クライマックスまであと5日。関が原の戦いが登場する最終回は、天下取りに向けて舵(かじ)を切った官兵衛の運命が描かれる。

 「実際の官兵衛は、リアリストだったと思う。(秀吉の)軍師として乱世を終わらせようと思ったのでしょうが、1つ1つの行動や決断はシビア。最後は欲を出して天下を狙う。周りを振り回したかったはずで、最後は暴れたかったと思うんです」

 物語後半、秀吉の暴走をいさめる険しい表情が印象的だった。ところが秀吉の死去後、天下を狙うと決めた後は、表情は解放感あふれ豊かなものに変わった。

 「誰も知らない、天下を狙う官兵衛です。歴史好きは知っていても、あまり知られていない新たな官兵衛を作りたかった」

 収録は9月に終了した。直後の会見で共演者が涙ぐみながら岡田の周りに集まった。結束力を感じさせた。

 「気を付けていたのは、気を使われないこと。大河の主演は皆さんが気を使って支えようとしてくれる。芸能の仕事は気を使われようと思えば、使われ過ぎて、どんどん持ち上げられる世界。気を使われないようにしていました」

 出番がない時も控室を出て収録現場にいた。共に1つのものを作る気持ちを大切にした。

 「大きな企画の『顔』をやるということは、一番気を使う必要があるのは僕。顔をやるというのはそういうこと。慰労会の約束もした。仕事を通じて、もの作りの仲間といういい関係が作れた」

 官兵衛は側室をもうけることなく、妻は生涯1人だけだった。岡田自身はどう考えているのだろうか。

 「何度も結婚したいとは思いません(笑い)。とりあえず、今は結婚とは思ってません」

 中谷美紀(38)演じる妻光(てる)は官兵衛に代わって留守を守る気丈さや、思いやりを持った女性として描かれた。理想のタイプを聞いた。

 「優しく、自分をしっかり愛してくれる人。まあ、愛される自分にならないといけないんですけど(笑い)。僕自身、静かに強く生きるのが人生のテーマ。派手な仕事をしていますが、実際は地味。本を読んだり、毎日寝る前にトレーニング。決まった生活をするのが好きな人間。この仕事と普段の自分が地味ということを理解してくれる人がいればいいですね」【中野由喜】

 ◆岡田准一(おかだ・じゅんいち)1980年(昭55)11月18日、大阪府生まれ。V6のメンバーとして95年にデビュー。同年フジテレビ系ドラマ「Vの炎」で俳優デビュー。97年日本テレビ系「D×D」でドラマ初主演。映画化もされたTBS系「木更津キャッツアイ」とフジテレビ系「SP」シリーズなど人気作多数。「永遠の0」「蜩ノ記」で今年の日刊スポーツ映画大賞主演男優賞。血液型B。