<日刊スポーツ映画大賞:石原裕次郎新人賞・松坂桃李(ツナグ、麒麟の翼

 劇場版・新参者)>◇28日◇ホテルニューオータニ

 第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が行われた。2年ぶりの石原裕次郎新人賞受賞者となった松坂桃李(24)に、裕次郎夫人で石原プロモーション会長の石原まき子さんが最高の賛辞を贈った。デビュー当時の裕次郎さんと重なる部分があり、「品格がありました」と絶賛した。松坂は照れながらも「またこの場に立ちたい」と飛躍を誓った。

 緊張でこわばっていた松坂の顔が、まき子さんのアクションでほころんだ。賞金100万円を受け取る際、「(背が)高いのね」と手をかざされた。松坂の身長は183センチ。182センチだった裕次郎さんとほぼ変わらない長身と、裕次郎さんが重なった。続けて「私が裕次郎さんと出会った時と印象がよく似ていましてね。作品を拝見しましたけど、非常に品格があってイメージがダブりました。とっても素晴らしかったです」と称賛されると、恐縮しきりになった。

 「そうやって見ていただけることがとてもありがたいことです」

 この1年、映画にドラマと休むことなく突っ走った。年が明けても舞台、ドラマ、そして映画の撮影が待っている。新作は「経験したことがないテイストの作品で、役柄もやったことがないタイプです」と明かし、「そんな風にこれまでとまったく違ったものが待ち受けてるのもありがたいことですよね」と前向きにとらえた。

 この日のスピーチでは「今回の受賞は、今までの自分の評価というよりは、これからの自分への『いい仕事しろよ』という激励の意味と受け止め、またここに立てるように日々精進していきたいと思います」とさらなる飛躍を誓った。

 スーパースターの名を冠した賞を誇りに、来年もスクリーンで新たな魅力を開花させる。【今西孝江】

 ◆ツナグ

 高校生の歩美(松坂桃李)は亡くなった人と1度だけ会わせる使者ツナグを務める祖母アイ子(樹木希林)の見習いで「死者に会えるのは生涯1度に1人だけ」「死者も生者に会えるのは1度だけ」「会えるのは月の出た夜に夜明けまで」と客に伝えるのが仕事。客として横柄な中年男、同級生女子らの依頼を祖母に仲介する中、ツナグの存在意義を考え始める。平川雄一朗監督。

 ◆麒麟の翼

 東京・日本橋の「麒麟像」の下で青柳武明(中井貴一)の刺殺体が発見され、そのバッグを持って逃走した八島冬樹(三浦貴大)もトラックにひかれて意識不明に。その後、青柳の会社の労災隠しが発覚。加賀恭一郎刑事(阿部寛)は青柳が腹部を刺されたまま助けを求めず、8分も歩き続けたことに疑問を持ち、青柳と長男悠人(松坂桃李)との関係に着目する。土井裕泰監督。

 ◆松坂桃李(まつざか・とおり)1988年(昭63)10月17日、神奈川県生まれ。08年に雑誌「FINEBOYS」オーディション優勝で芸能界入り。09年「侍戦隊シンケンジャー」主演で俳優デビュー。映画は「僕たちは世界を変えることができない」「アントキノイノチ」など。ドラマは12年NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」など。来年は映画「ガッチャマン」主演、蜷川幸雄氏の演出舞台「ヘンリー四世」が控える。183センチ、血液型A。